2020年12月5日、「ちくだいスタートアップ体験プログラム」の第6回が開催されました。これまでは商品開発のアイディア創出やコンセプトなどについて学んできましたが、 今回はビジネスを考える上で避けては通れない「お金」についての講義です。
「ちくだいスタートアップ体験プログラム」とは
本プログラムは帯広畜産大学の学生を対象に、ビジネスを一から立ち上げる「スタートアップ体験」をしてもらう事を目的に、全8回にわたる内容で構成。 最終的な目標として翌年2月開催予定の「ビジネスプランコンテスト」に向け、帯広畜産大学、帯広市、とかち財団LANDの連携事業として実施されます。
今回も引き続き、オンラインでの講義となりました。 講師を担当する株式会社エントライズマネジメントの野村さんは、プログラム後半となる6回目の講義を始める前に、「当プログラムを今後のキャリアになるきっかけにして欲しい」と学生に伝えました。
前回まで『コンビニと帯広畜産大学で産学共同の新商品を企画する』というテーマの課題を体験した学生の皆さん。 野村さんは「どんなに素晴らしいアイディアでも、お金の部分をクリアしないとスタートできない」と切り出し、「お金」についての講義がスタートしました!
今回は『市内の中心街にお店を借りて定食屋をオープンさせる』というテーマで講義が進んでいきます。 事前に配布されたワークシートには、座席数20席、家賃10万円、営業時間はランチの4時間、スタッフは2人で時給は1,000円…など詳細な設定が記載されています。
このお店が赤字にならないためには?という課題では、「メニューの価格を上げる」、「席数を増やす」、「人件費を下げる」、「電気代削減のためにロウソクを使う」など学生から様々な施策が発表。 ここで野村さんから「客単価を上げるアイディア」の重要性を教わりました。
さらに「極端性回避の法則(松竹梅の法則)」や「アンカリング効果」や、「額」ではなく「率」で考える価格の決め方について解説。 また、先に価格を決めて利益を差し引いた上で内容を決めていく「価値基準型価格設定」などを説明し、学生に商品やメニューの値決めの方法を伝えました。
続いて登場したのは、十勝・音更町で主に豆類や小麦を中心とする雑穀の卸業を手掛ける株式会社 山本忠信商店 代表取締役社長の山本 英明さん。 冒頭の挨拶で「社長やったらモテるぞ!」と熱を込めて呼びかけました!
山本さんは、経営理念(存在意義)、ミッション(使命)、ビジョン(未来像)が、企業にとってどんな意味があるかを自社に照らし合わせて解説。 「会社の進むべき方向の指針となるミッションとビジョンをブレずに行うことが重要」と伝えます。 さらにミッションにこだわった結果、「利益度外視で」製粉工場を建設した逸話なども紹介し、「社員がついてくるのはミッションの部分だ!」と語りました。
最後に登場したのは東京・港区赤坂に本社を構え、移動体通信技術提供を本業とする株式会社 Gardens 代表取締役の西薗 隆さん。 2020年、十勝・更別村に拠点を開設しました。これから新事業を立ち上げる予定だそうです。
エネルギー問題を農作物で解決できないか?という想いからスタートした「未来型エネルギー農産物」ソルガム(イネ科)を使った新たな農業ビジネスの構想を紹介し、その土地の課題をその土地の魅力で解決するという方法を解説。 学生に向けて、いつかやってやろうという考え方ではなく、いますぐやる!という意識が大切と訴え、失敗という経験が自分の財産になるので、たくさん失敗してください!と締めくくりました。
本プログラムの参加者にお話を聞いてみました。
たくさんの経済学用語が飛び交った今回の講義では、値段を決めるのに人の心理を利用するなど、新たに知ることばかりで有意義な時間となりました。 とても熱量を感じた山本さんの話では、勢いやブレない「芯」の様なものを感じました。 そして経営理念・ミッションがいかに大事かを、実例でお聞きできたことが自分の糧になったと思います。 また、ガーデンズの西薗さんの論理的な視点で課題解決していくビジネスモデルの話は、今後を想像するとワクワクしました。
まだ自分のビジネスプランは決まっていませんが、これまでプログラムで学んだことを活かして、十勝・帯広・自分などにフォーカスしたときに浮かび上がる課題解決のための事業を考えたいと思います。
今回はビジネスで重要な「お金」のこと、 そして企業にとってミッションやビジョンを明確にしておくことで、 判断に迷った際の指針になることも学びました。 全8回のプログラムも残すところあと2回。これからどんなビジネスプランを見出し、構想を練り上げていくのでしょうか!? 次回のレポートもお楽しみに!