北海道・十勝から未来を切り開き、新たな価値を掘り起こすビジネスイベントとして「KAIKON -開墾-」が、10月15日(水)、16日(木)の2日間にわたって開催されました!
昨年に引き続き今年で2回目の開催となる「KAIKON -開墾-」ですが、今年も多くの方にご参加いただき非常にアツいイベントとなりました。
今回のレポートでは1日目の10月15日(水)に行われた「KAIKON TOKACHI CARAVAN」についてお伝えしていきます!
「KAIKON TOKACHI CARAVAN」は、十勝の一次産業など地域資源を活用したビジネスの現場を巡るフィールドキャラバンで、新たな事業創出や事業コラボレーションの促進を目指して行われたものです。
イベントには、十勝管内のみならず十勝管外からも様々な事業を行う方々にご参加いただきました。
視察受入団体からは十勝における一次産業の取り組みや地球温暖化や価格高騰に伴う現場の課題、六次産業化に向けた取り組みなどについて説明が行われ、参加者との間で積極的な意見交換も行われるなど、終始活発な雰囲気でイベントが進んでいきました!
温泉熱でトマトの栽培!?-アルプス技研ファームとかち-
一行が初めに訪れたのは、音更町のアルプス技研ファームとかち。令和6年4月にJA木野、株式会社アルプス技研、株式会社アルプスアグリキャリアの3社により包括連携協定が締結され、「アルプス技研ファームとかち」が発足しました。
ハウス一面に栽培されるトマトに囲まれながら、株式会社アルプス技研の紀藤正則さんからトマトの栽培方法についてお話を伺います。
こちらのハウスでは、時刻やハウス内の温度を設定することで、天窓やカーテンの開閉が自動で行われるほか、トマトに与えるミスト量の調整も可能です。その中でも一段と参加者の注目を集めたのは温泉熱を活用した温風発生機。「アルプス技研ファームとかち」のある地域(音更町下士幌)には温泉が湧き出しており、自然エネルギーを用いて農作物の通年栽培を可能にする環境が整備されています。参加者は、実際に温泉熱を利用した温風を体感するなどして新たなミニトマトの栽培方法について学びました。
さらに、ハウスの外には寿循環合同会社の「バイオマスバーナー」が設置されています。
前職では小型バイオマスバーナーの開発に携わり、令和7年4月に寿循環合同会社を設立した佐藤寿樹さん。
農業残渣物である小麦屑を燃料として利用できるバイオマスバーナーは、農業におけるゼロ・エミッションを実現し、「脱炭素社会」「SDGs」など持続的な社会へ貢献すると佐藤さんは熱く語ります。さらにはバイオマスバーナーの燃焼後に出てくるバイオ炭を、様々な分野で利活用できるよう取り組みを進めているという二重の脱炭素化に向けた取り組みの紹介もあり、参加者のみなさんも熱心に説明に聞き入っていました。
温暖化や物価の高騰...畜産業の現状とは-佐々木畜産株式会社-
続いて一行が訪れたのは、佐々木畜産株式会社の幕別牧場です。子牛から成牛まで可愛いお顔がずらり。月齢ごとに分かれた牛舎を回りながら、同社代表取締役佐々木章哲さんからお話を伺います。
佐々木さんが語るのは畜産業の現実。温暖化による牛の体調不良が肉質に悪影響を及ぼしていること、物価の高騰によりおがくずが手に入りずらく牛の飼育環境に悪影響を及ぼしていることなど、さまざまな苦悩を伝えてくださいました。佐々木畜産では自社の粉砕機でおがくずを製造することで牛の飼育環境を良好に保つ工夫を行なっていますが、自社で粉砕機を持っていないなどおがくずが手に入りづらい牧場では、牛が過ごす環境が快適ではなく牛もストレスを感じていると言います。
その後一行は、同じく佐々木畜産株式会社のグループ会社である株式会社帯広有機の有機肥料製造現場を訪れました。
現在はコーヒーかすと籾殻を混ぜた肥料を製造してますが、十勝管外から籾殻やコーヒーかすを仕入れているため高額な配送費の問題が存在するとのこと。佐々木社長から「十勝産のもので何か提案してくれると嬉しい」との問いかけに対して、参加者からは小麦、玉ねぎの皮、大豆、甜菜などといった様々な案が飛び交い活発な雰囲気で視察が行われました。
農家が集まり法人化!十勝の畑作を学ぶ-なまら十勝野-
最後に訪れたのは芽室町にある株式会社なまら十勝野です。
芽室町の13軒の農家で結成され(現在は19軒に拡大)、「安心・安全・美味しい」を当たり前の基準とし、"なまら"美味い野菜を全国に届ける「なまら十勝野」。まずは、代表の小山勉さんから十勝の農業の歴史・概要について説明を受けました。
特に十勝の輪作(※同じ畑で毎年異なる種類の作物を順番に栽培する農法)については参加者のみなさんも興味津々で、農薬や肥料が高騰する中でも栽培し続けられる畑作りについて学びました。質疑応答では複数の農家が在籍する中でどのように「安心・安全・美味しい」を保証するのか、利益の分配はどのように行なっているのか等、新しい農業の形に対して積極的に質問がなされました。
そしてなんと!!!視察の最後には、なまら十勝野で栽培・収穫されたさつまいもをいただきました!!!
温暖化の影響で近年北海道でも栽培が可能になってきたさつまいも。
とろっとろで甘い十勝産のさつまいもに参加者のみなさんも思わず笑みが溢れます...
いかがでしたでしょうか!
今年も定員40名の予約は満員御礼、十勝管内・十勝管外問わず様々な分野の参加者の方々にご参加いただきました。
冒頭にもありますが、「KAIKON TOKCHI CARAVAN」では新たな事業創出や事業コラボレーションの促進を目的としています。
今回の「KAIKON TOKACHI CARAVAN」を通し、実際に参加者が十勝の農産物を活用した商品開発の検討を開始したり、資材連携等に向けた協議が開始されるなど、協業・連携事業に向けた繋がりが創出されました。
また、キャラバン終了後にLANDで行われた参加者同士のミートアップも大変な盛り上がりを見せ、いよいよ熱狂の舞台は翌日の「KAIKON -開墾-」カンファレンスイベントへと移されます...!!
アフタームービーはこちらからどうぞ!