2020年10月22日に開催された第2回「ちくだいスタートアップ体験プログラム」をレポートします。
「ちくだいスタートアップ体験プログラム」とは
本プログラムは帯広畜産大学の学生を対象に、ビジネスを一から立ち上げる「スタートアップ体験」をしてもらう事を目的に、全8回にわたる内容で構成。最終的な目標として翌年2月開催予定の「ビジネスプランコンテスト」に向け、帯広畜産大学、帯広市、とかち財団LANDの連携事業。
2回目の体験プログラム。まずは株式会社エントライズマネジメントの野村幸司さんから、「話す人が話しやすい環境を作ることで、自分にとって有益な情報を得ることができる」という聞く姿勢についてのアドバイスがあり、会場の全員で笑顔の練習からこの日のプログラムはスタートしました。
「今日は本格的にマーケティングについてお話して頂きたいと思います」と野村さんから紹介され登壇したのは、インターテクノロジズ株式会社で営業広報部マネージャーを務める中神美佳さんです。
『マーケティングってナンダ?』と題した講義は、中神さんの職歴や手掛けた案件などを紹介しながら進んでいきます。
「マーケテイングは経営の根幹です!」と言い切る中神さん。マーケティング戦略のステップを、図を使ってわかりやすく解説しながら、「マーケティングは『こうなんじゃないか?』という仮説を立てることが大切です!」と学生たちに訴えました。
教科書や参考書には載っていない、中神さんが実際に経験された話で構成されたマーケティングの講義を聞く学生たちの目は真剣そのものです。
講義のメインテーマは、以前所属していた株式会社スマイルズで実践していた「N=1」という考え方(※Nはサンプル数の意)。
まずは大多数をサンプルターゲットにして客観的に情報を読み取るマーケティングの「王道」を説明しました。
その後、顧客は1人の人間であり、その人がなぜ買うのかという文脈を意識した自分指向のマーケティング方法「N=1」を、これまでの事例と合わせて解説。
その中でも、同社が手掛けたスープ専門店「SOUP STOCK TOKYO」や、入場料1,500円の本屋「文喫 六本木」などの事例を丁寧に紹介し、事業をスタートさせるきっかけとなる最初の思いつきやひらめきの重要さを伝えました。
市場を掴むためのフレームワークをいくつか紹介したあと、「市場・顧客(Customer)」・「自社(Company)」・「競合(Competitor)」の3つの関係性から現状を分析する「3C分析」というフレームワークを、学生が2人1組になって実践してみることに。テーマは『コンビニと帯広畜産大学で産学共同の新商品を企画する』というもの。中神さんから「自分が会社に入ったときの練習だと思ってやってみて下さい」の一言で、学生たちのスイッチが入った様に感じました。
数分間のディスカッションの後、各グループから発表されたアイディアで、「3C分析」の表は真っ黒に埋め尽くされていきました。
講義の最後に「これから行く予定のフィールドワークも、この3C分析を意識すると、アイディアが出てくると思います」と、学生たちにエールを送り、中神さんのマーケティングの講義は終了しました。
この日、最後に登壇したのは「道の駅ピア21しほろ」を運営する株式会社at Localの堀田悠希さん。
「士幌町民たちのための道の駅を作ろう!」という熱いテーマをもって、道の駅をリニューアルオープンさせてから今に至るまでの経験と心境を話してくれました。
現在では、人を呼ぶことができる道の駅として賑わいを見せている「ピア21しほろ」ですが、準備期間がない中でスタートさせることになったオープン当初は、予想を遥かに超える来場者数に、土産がない、売る物がない、人がいない…と、全てのサービスが追い付かない状況だったそう。
多忙により社員が1人また1人と倒れていく状況のなか、誰一人として辞めることなく、この難局をどう乗り切ってきたか、当時の様子を経営者の目線で伝えます。
そして、「無いから諦めるではなく無いなら作る!」、「会社は生き物で、一番大切なのは会社の身体を作るスタッフとその家族」、「社長の仕事はお金をつくること・トイレ掃除をすること・スタッフに魔法をかけること」など、堀田さんが大事にしてきた経営者としての心構えを熱心に語ってくれました。
最後に、講義の冒頭で「まだピア21に行ったことが無い」と答えた学生たちに向けて「遊びに来てください!」と笑顔で締めくくりました。
本プログラムの参加者にお話を聞いてみました。
Q.参加したきっかけは?
「専門学校からの編入で大学に入りましたが、新型コロナの影響でサークルにも所属できませんでした。元々、十勝で就職したいと考えていたので、十勝の経営者の話がたくさん聞けるというこのプログラムに参加しようと思いました。」
Q.印象に残った話は?
「中神さんが解説してくれた『N=1』の話が印象的でした。すべての人に当てはまる訳ではない、一人一人の考えを大切にしたアイディアを生み出すことが、重要なんだなと思いました。」
Q.2日後のフィールドワークに期待したい事は?
「ずっと十勝に住んでいますが、どういうことをしているのか知らない企業を見ることができる良い機会だと思っています。たくさん話を聞きたいと思っています。」
次回は講義の場を外に移し、丸一日かけて十勝の企業を訪問するフィールドワーク。
彼らが何を見て、何を感じ取るのかをレポートします!