十勝Z団(トカチゼットダン)

公益財団法人とかち財団

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11月22日に開催された、十勝から起業家を創出するためのプログラム「とかち・イノベーション・プログラム2023(TIP9)」の「事業化支援セッション」。コロナ禍を乗り越え、4年ぶりの対面開催となった最終発表会をレポートします。!

とかち・イノベーション・プログラム(TIP)とは
十勝での新事業創造を目指す参加者が、セッションを通して「仲間」を見つけ出し、事業プラン発表までを支援するプログラム。
2015年に第1期が実施され、今年で9回目となる同プログラムには58人が参加。十勝での新事業創造を目指した参加者らは、自身の心の奥に秘めた想いを具現化するため、セッションを通して「仲間」を見つけ出し、事業プラン発表まで辿り着きました。
このプログラムから2022年の第8期(TIP8)までにの事業構想は64件でそのうち23事業、14の会社が立ち上がりました。

主催:帯広信用金庫
共催:十勝19市町村
協力:株式会社日本政策金融公庫帯広支店、株式会社商工組合中央金庫帯広支店、帯広商工会議所、一般社団法人中小企業家同友会とかち支部、公益財団法人とかち財団、信金中央金庫、株式会社野村総合研究所
協賛:松井利夫(株式会社アルプス技研 創業者 最高顧問)、敷島製パン株式会社、フジッコ株式会社、カルビー株式会社、サッポロビール株式会社北海道本部、富士通Japan株式会社、アース環境サービス株式会社札幌支店帯広出張所

今年で9期目となった「とかち・イノベーション・プログラム2023(以下TIP9)」では、10の事業構想が誕生。最終セッションでは、4ヶ月間に及ぶプログラムでブラッシュアップされた10事業案が経営者や投資家に発表されました。

帯広信用金庫・高橋理事長

冒頭、主催者を代表して登壇した帯広信用金庫高橋常夫理事長は「とかち・イノベーション・プログラムから輩出された事業は、今や十勝の看板事業として地域に定着しているものも数多くある。今日は7月のセッションでお会いした参加者の皆さんが、5カ月間のプログラムを経てどのような事業構想を練り上げてきたのか、大変楽しみで発表の瞬間に立ち会えることが嬉しいです」と語りました。また、「エネルギーを持った起業・創業の卵を中長期的な視点から応援し、その思いを具体的な形にしていくことがこのプラグラムのミッション。それが同時に十勝の事業者の母数を維持することにもつながると考えている」と、主催者としての思いを述べられました。

野村総合研究所・TIP9事務局の早川さん

主催者のよる挨拶の後、TIP9の事務局を担当した野村総合研究所早川梨穂さんから、「とかち・イノベーション・プログラム」を構成する 「0から0.5(事業構想)を生み出すプログラムであること」「個人ではなくチームで事業を描くこと」「Wants起点で事業を考えることで、社会課題やニーズからでなく、より強い想いの事業を作り出すこと」という3つの特徴を説明。 今年は58名の参加者が7月から14回のセッションを重ね、最終発表会に向けて事業をつくりあげてきたことを紹介し、10チームによるプレゼンテーションが始まりました。

5カ月に及ぶセッションを経て、10チームが事業構想を発表

「突撃!!モール温泉」

チーム名モール温泉を全国へ
リーダー小松勇斗さん
メンバー木村真之さん/岡田五十鈴さん/大久保航也さん

トップバッターは、帯広駅前で唯一の源泉かけ流し、モール温泉で知られる「ふく井ホテル」で働く小松勇斗さんをリーダーとするチームです。植物起源の有機物を含んだ温泉である「モール温泉」は日本とドイツにしかないことを紹介。さらに日本において、駅前にモール温泉があるのは帯広だけであることを伝え、帯広ではモール温泉を400円程度の料金で楽しめる施設が20数カ所あることをアピールしました。 その上で、モール温泉を軽トラックで届ける「移動式源泉モール足湯事業」を提案。帯広の広小路商店街で行われたマーケットイベント「広小路マーケット」に出店し、5時間で100人を集めたという集客実績を披露、大きな手応えを感じたといいます。

ターゲットとしては「観光客」と「帯広市民」を想定。東日本で唯一の移動式源泉モール足湯は、全国旅行誌・メディアへの掲載実績があり、それが市民への注目度を上げることにもつながると力説。また、福祉施設へモール温泉を届けることで、温泉に行きたくても行けない方へ、癒しを届けることもできると話しました。 小松さんはJR北海道で車掌を務めた経験もあり、将来的に「足湯列車」企画も考えていることもアピール。「食と農林漁業」を柱とする地域産業政策「フードバレーとかち」との相乗効果が期待できる「モールバレー」を形成したいと訴えました。さらに、移動式源泉モール事業が発展した先には、モール温泉が全国に広がることをイメージしていると語りました。

「子ども未来通貨」

チーム名NUOK(ヌック)
リーダー中山三香さん
メンバー内杉早苗さん/大久保航也さん/木村真之さん

3人の子を持つ母であり、「ナチュラル輪おびひろ」を主催し、子どもが楽しめるイベントの企画運営をなどをしている中山三香さん。中山さんの活動のきっかけとなったのは、子どもの頃に受けた暴力や、大人に対する不信感があったといいます。 しかし、友人やまわりの大人たちに支えられ、温かく受け入れてもらうことで、毎日が幸せに過ごせたといいます。現在、日本では子どもの7人に1人が貧困で、子どもの幸福度が世界38カ国中37位、また日本は自己肯定感が低い人が多い点についても、中山さんは訴えます。

「貧困や孤独、生きづらさを抱える子どもたちに生き生きしてほしいから」と、子どもが主役の地域通貨を提案。「たとえば、本屋の前で、子どもがゴミ拾いをお手伝いしたら、子どもは本屋から地域通貨を受け取ります。その通貨は、駄菓子屋を食堂、パン屋のほか、文具やゲーム、カラオケや温泉、習い事などで使えます。これらは、新規顧客を獲得したい加盟店が、費用を運営に支払うことで成り立ち、それらによって、子どもと地域が自然につながりを持つことができます」と中山さん。このように、子どもが主役の地域通貨を導入し、運用することで、十勝が日本一元気な「子育て先進都市」になれると、中山さんはアピールしました。

「ウツリスムトカチ」

チーム名SMOUTkachi
リーダー鈴木龍太郎さん
メンバー岡田五十鈴さん/馬渕裕貴さん/井上真紀さん

リーダーの鈴木さんは開口一番、「私たちは十勝への移住促進事業を行っていきます」と宣言しました。鈴木さんを含め、チームのメンバーは「十勝という土地に魅了され、ここに住んでいる」という4人。十勝・池田町の現役・地域おこし協力隊員の鈴木さん。十勝人より十勝の魅力を語れる、と定評のある岡田さん。ハードなサラリーマンを経てUターン、農業を実践中の馬渕さん。帯広出身・帯広在住、地域密着型の薪ストーブ屋の井上さんが、チーム「SMOUTkachi」のメンバーです。

「十勝移住に関し、ていねいに対応しきれていない現状を目の当たりにしてきました」と鈴木さんは語り、十勝を知る自分たちが移住支援をできないだろうか、と考えました。1つ目は、移住希望者の好みに合った人物につなげるオーダーメイドラリー。たとえば、十勝でカフェを開きたいという人がいたら、十勝の食材を扱うお店や、その食材を育てている農家を紹介し、対談の時間を用意。それらは、チーム「SMOUTkachi」がコーディネートした先を、移住希望者が自分で回るというものです。

2つ目は、薪ストーブのある体験住宅を用意し、移住希望者に十勝人の日常を経験してもらうサービス。3つ目は、LINEやオープンチャットを利用し、十勝に関する情報発信、さらに移住相談に乗るサービスです。この3つのサービスを通じ、移住希望者が地元民の人柄に触れられるようにするという提案です。「移住支援は行政主体、市町村単位でのサポートが多いのに対し、私たちは十勝全体をカバーし、専任のメンバーを提供できるのも強み。「チーム「SMOUTkachi」では来年度はモニター期間と位置づけ、再来年から本格スタートし、5年後に移住者100組を目指します」と、リーダーの鈴木さんは力強くアピールしました。

「『絵本の国』製作委員会」

チーム名Team Chiki
リーダーくろしまちきさん
メンバーむらちかさん

21年間、子どもの英語教育に携わってきた、くろしまちきさんは子ども教育のプロ。くろしまさんはチームメンバーのむらちかさんとともに「私たちの事業構想は、十勝を絵本の国することです」と語ります。くろしまさんは、なぜ絵本の国を目指すのか。自らの気持ちをムービーに込め、アピールしました。その中で、「私たちが描きたい絵本とは、当たり前にある自然の尊さ、アイヌ伝説から共存共栄の教え。実際の十勝の風景を模写して作画し、花鳥風月を表現します」と述べました。

顧客として「ファンタジー好きな人」「自然や平和を守りたい人」「地球規模での環境問題に関心のある人」を想定し、「十勝の自治体(19市町村)」「十勝の企業」「創作意欲のある人(音楽、絵のアーティスト)」に関わってほしい、とアピールしました。商品と提供方法として、SNSで毎週ショートムービーを世界に向けて発信。毎月1、2回絵本の読み聞かせイベントをブックカフェやバーで開催。また、絵本作家を募集し、2025年春に絵本を出版。多くの意見を取り入れながら、10年で19市町村においてそれぞれのストーリーが出来上がるというプランです。

「CHESTER FIELDS」

チーム名CHESTER FIELDS
リーダーJudy Mukoda(ジュディ・ムコウダ)さん
メンバー漆原成人さん/内村早苗さん/木野村英明さん/渡邊悠太さん

「里山が大好き」というジュディ・ムコウダさんは自然を愛する仲間と、自然を愛す生活を楽しみながら、素晴らしい環境を永遠に守ることにつながる事業を構想しています。リーダーのジュディ・ムコウダさんは、日本生まれの日系カナダ人。カナダで育ち、バンクーバーから十勝にやってきたのは4年前。カウボーイだった父が亡くなり、帯広の中心部から車で45分の帯広市岩内町に引っ越してきました。

その地の森の中に小さな牧場があり、果実やハーブ、十勝の山菜や草花が育ち、ジュディさんが植えた作物もあり、カナダと十勝が融合したような場所です。そこをチェスターフィールドと名付け、欧米のコミュニティガーデンのような試みを目指します。この場所は所有でなく、共有することによって文化が花開くという計画です。

コミュニティガーデン、ティーハウスをはじめ、食べ物を収穫できる森と宿泊施設「エコヴィレッジ」などをつくり、英会話や編み物などのワークショップを開催、自然とスローライフを愛する人が交流する場へと発展させます。同時にサポーターも募集しながら、十勝にチェスターフィールドを根付かせ、永遠に美しい自然を守り続けることを目指す事業です。

「記憶に残る熱気球の旅」

チーム名記憶に残る熱気球の旅チーム
リーダー篠田博行さん
メンバー細田今日子さん/大野和明さん/橋原靖佳さん/穴生練さん

「本日の機長は篠田、当機はただ今、離陸しました。そういうテイでお願いします」とユニークな語りから始まった、記憶に残る熱気球の旅チーム。会場を和気あいあいとしたムードに盛り上げ、リーダーの篠田さんは事業構想を語り出しました。熱気球のライセンスを取得してから35年という篠田さんが提案するのはズバリ、「完全オーダーメイドの熱気球の旅」をプロデュースするというもの。

篠田さんによれば、日本全国で熱気球のフリーフライトを通年で楽しめるのは、栃木県の渡良瀬遊水池と十勝だけとのこと。熱気球というのは、ロープにつながれた係留飛行がほとんどで、いわばお試し体験。篠田さんの十勝空旅舎は、全国でも比較的少ないフリーフライト(約1時間の遊覧飛行)を中心とした事業者です。たとえば、熱気球に乗ってサプライズのプロポーズすることも可能、さらに車椅子のままでも気球に乗れるなど、完全オーダーメイドの気球の旅が楽しめることを訴求。「十勝に来たら熱気球、熱気球に乗るなら十勝!」と、篠田さんは力強くアピールしました。

お客様の9割が前泊されるため、宿泊施設との事業提携、バルーン(熱気球)への協賛広告の掲載なども訴え、事業の拡大や熱気球の利用促進を呼びかけました。

「親が嬉しい屋内施設」

チーム名ストップ!少子化
リーダー山本大悟さん
メンバー渡邊直也さん/高橋牧恵さん/小柏留美さん

メンバー全員が、2人以上の子持ちだという「ストップ!少子化」チーム。リーダーの山本さんは帯広生まれ、帯広育ち。「大好きな帯広のために何かできることはないか」と思い、もともと気になっていた少子化の現状を調べました。

山本さんは、帯広市の出生数が目に止まったといいます。帯広市の一年間の出生数は50年前は2,774人だったのが、昨年は992人と1,000人を切っています。この現実から子育て環境を良くするべきだと思い、帯広市が実施したアンケート結果を調査。第1位が「医療費助成の拡大」、第2位が「屋内施設の充実」でした。また、日本最大級に屋内遊び場検索サイトの検索結果では、札幌5件、旭川4件、釧路1件に対し、帯広は0件。「この結果を見ても、帯広には有名な屋内施設がないことがわかります」と、山本さんは「親がうれしい屋内施設」を提案。

屋内空間に「親も子どもも遊べる子どもエリア」を配し、それ以外に「リラックスエリア」を設けます。美容室などのお店の一角にキッズスペースがあるのでなく、屋内広場の一角に美容室やエステサロン、カフェなどがあるという逆転の発想。キッズスペースに見守りスタッフを配置することで、美容室などになかなか行けない親も気兼ねなく利用できる、と説明。また、屋内に無料のリサイクルショップをつくり、おもちゃ、ゲーム、絵本などを回収し、それを必要な方が持ち帰れる無料のサービスを提供します。このような「親がうれしい屋内空間」を提案し、運営プランを発表するとともに、スポンサー募集や、場所の提供や情報を提供などを呼びかけました。

「世界とつながるCafé」

チーム名X over(クロスオーバー)
リーダー吉田美貴さん
メンバー有澤佳子さん/大野和明さん

海外を旅するのが大好きという、リーダーの吉田美貴さん。そんな吉田さんは帯広で暮らすようになって1年半になりますが、出会った人とのほとんどが海外に行ったことがないのでは、と感じているといいます。海外に行くには時間もお金も休みも多く必要となります。だからといって、世界を知らない人がこんなにも多いのはもったいない、そう感じたことから、今回の事業構想が始まりました。それが「世界とつながるCafe」です。

「簡単に海外旅行ができない人に『世界の旅気分』を味わってもらい、刺激や癒しをあたえる空間です。コンセプトは『旅を見つけるプライベートターミナル』。毎月、テーマ都市を変えて、料理や雑貨のほか、映像や音楽、写真などを用い、空間全体で世界都市を再現し、十勝にいながら、世界を旅している気分になれる場所を提供します。また、国内外の旅行会社や、十勝で暮らす留学生、旅好きの人にサポーターになってもらい、現地のリアルな情報や料理メニューを教えてもらうとともに、留学生や旅好きの人に、カフェをいっしょに育てるアンバサダーになってもらいます」と熱く語る吉田さん。 2025年3月のオープンを計画、資金の融資や補助金申請のアドバイスなど、協力を呼びかけました。

「看護師が寄り添う安心ファスティング」

チーム名十勝ウェルビーイング
リーダー森末静縁さん
メンバー森真由美さん/北口衣里さん/増永陽花さん

ファスティングとは断続的断食のこと。ファスティングカウンセラーでもあるリーダーの森末さんは「看護師が寄り添う安心ファスティング」を提案します。チームメンバーの共通点は看護師であり、女性であり、そして母であること。また、4人が目指すのは、健康意識の高い人を増やすことです。

森末さんは「メタボリックドミノ」という言葉を紹介し、「生活習慣の乱れが肥満につながり、そこからドミノ倒しのように、さまざまな病気を引き起こしていくことだと説明します。欧米ではファスティング、つまり、いつ食べていつ食べないかで体質改善できるとされていることを伝え、森末さんはファスティングを成功に導くための3つのRを掲げます。

1つ目のRはReset。悪い流れを断ち、リセットしやすくなるので、リバウンドしにくいこと。2つ目のRはReborn。新しい自分に生まれ変わるために分析し、体質を視覚化すること。3つ目のRはRelaxation。ヘッドスパ、よもぎ蒸しでデトックスを促進し、より成功に導きます。十勝ウェルビーイングのファスティングは、十勝初の癒やしのコラボに加え、看護師が併走するので楽ちん。2泊3日導入プラン、3カ月寄り添いプランなど、選べるサービスを用意していることもアピールしました。

「十勝が起こす!廃棄食材の加工流通革命」

チーム名エ・ステル(え?捨てる?)
リーダー岸田友恵さん
メンバー有城豊子さん/熊谷かおるさん/木野村英明さん/細田今日子さん/石川朋佳さん

ラストバッターはエ・ステル(え?捨てる?)。リーダーの岸田さんは「みなさまの目の前の食事は、廃棄される予定の規格外野菜から作りました」と、「大正すずしろ大根のポタージュ」「かぼちゃとねぎの味噌マヨピザ」「じゃがいもの星屑マリネ」を会場のみなさんへ試食品を提供。おいしい料理に、参加者の胃袋がわしづかみにされ、プレゼンが始まりました。

帯広市内で飲食店を経営する岸田さんは、農水省の調査を紹介し、野菜の収穫量の約20%が規格外野菜として廃棄されていることを説明。規格外野菜とは、大きすぎる、小さすぎる、曲がっているだけのものを指し、現在の農場では規格外の野菜は廃棄に出すことが当たり前。岸田さんは、「農家の方は、自分で踏みつぶすなど、畑に戻すしかないというのが現状です」と嘆きます。

そこで「エ・ステル」は現状を変えるため、廃棄食材を加工し、高付加価値商品に変えるサービスを提案。それには、あるきっかけがありました。とある百貨店バイヤーから聞いた、500キロのかぼちゃを廃棄する、十勝の生産者がいるという話です。「十勝の中で加工できないか」と相談された岸田さんは、「捨てられるなんてもったいない」、その一心で、その話を引き受けました。結果、40種類以上の施策をし、10種類を商品化。販売の連絡をしたときの農家さんの喜んだ顔は、今でも忘れられない、と岸田さんは語ります。

廃棄されるかぼちゃをスープとして商品化したところ、「高島屋ローズキッチン」で、3日間で300個完売。翌月は、規格外の小さなじゃがいもをレトルトパックにし、孫じゃがとして販売したところ、5日間で500個完売。生産者たちときちんと向き合うことで、規格外野菜の販売難民を減らすだけでなく、笑顔を増やし、新たなビジネスモデルへとつながりました。廃棄野菜を販売することで、生産にさらなるやりがいが生まれ、廃棄予定のものが商品になることで収益の向上も図れます。これらは、「現在、十勝で私たちだけの事業で、全国的にもかなり珍しい」と岸田さんは、廃棄野菜の加工流通事業に胸を張ります。

10の事業構想について米沢帯広市長が総評

米沢則寿帯広市長は、「今回の事業構想が実現すると、十勝は今よりもっと豊かで、幸せな地域になれるのではないか」と述べた上で、各チームに総評を伝えました。

米沢帯広市長

【突撃!!モール温泉】
現地でしか楽しむことのできない温泉というものを、移動式の足湯によって希望者に届けるというサービスは、観光分野のみならず、福祉分野における普段入浴できない高齢者などに楽しみや安らぎをもたらすことができるという視点、幸せをもたらす素敵な事業だと感じました。

【子ども未来通貨】
子ども未来通貨を活用して、加盟店が子どもの成長を後押しするというこの事業の発想、素晴らしいですね。この地域の人々が協力しながら困難を乗り越えてきた、そういう風土ととても親和性があるのではないかなと思いました。

【ウツリスムトカチ】
十勝全体をエリアに、移住希望に沿ったきめ細やかな提案を行うことで、不安がゼロの移住につながる。この事業を通じて、移住体験者が今よりもっと増え、地域住民との出会い、そして気づきが生まれることで、外から見た十勝の魅力向上、さらなる移住促進につなげていきたいですね。

【「絵本の国」製作委員会】
絵本をイメージした動画、十勝の風景や絵、それから曲の雰囲気もマッチしていましたね。私は本は大好きで、本屋では必ず絵本のコーナーに顔を出しますから、ねこが十勝をどう旅して、何に触れ、何を伝えてくれるのか、ストーリーを楽しみにしています。

【CHESTER FIELDS】
十勝が持つ観光資源に新しい要素が足されて、十勝、そして自然を愛する事業者が全国から集まる場所になってほしいですね。普段自然に慣れ親しんでいる地域住民に対しても、十勝の恵まれた環境を再認識させる機会となると思っています。

【記憶に残る熱気球の旅】
熱気球を通じて、さまざまなニーズに応えていく、おもてなしの心があふれる発表でした。いろいろな企画もしてもらえるのであれば、苦労をかけっぱなしの妻と二人で乗ってみようかなと思いました。十勝の観光業界に新しい風を吹き込んでもらいたいです。

【親が嬉しい屋内施設】
屋内施設を充実させてほしい、という声はたくさん寄せられていますし、社会課題でもあります。民間の運営でやってみようという、自由な発想の中でどういうものができるかな、とお考えいただきました。子どもが楽しめるのはもちろん、子育て世代の親が安心して楽しめる、新しい場所ができることを期待しています。

【世界とつながるCafé】
私は前職で海外勤務が長かったんですけど、その土地に足を踏み入れ、その国の空気を吸ってみないとわからないものは確実にあります。そこで気づくことは想像もしない驚きであったり、発見であったり、ということがあると思いますので、さらなる事業展開を期待しています

【看護師が寄り添う安心ファスティング】
ファスティングというと、日本語にすると断食。これ、けっこうつらいイメージがありますよね。ただ、看護士のみなさんが伴走していただけるということで、安心してファスティングに取り組んでいけるというのは、これはなかなか面白い考え方ですし、今後の事業展開を楽しみにしています。

【十勝が起こす!廃棄食材の加工流通革命】
規格外となった作物を踏みつぶさなければならない。これは生産者にとって一番つらいことだと思います。岸田さんがおっしゃっていた、もったないのを減らしたい。これ、いい言葉ですね。フードバレーとかちは大量に生産できて供給できるだけでなく、ロスも無くして新たな価値を生み出せる段階まできている言ってもらえたら嬉しいですね。

最後に、米沢市長は「セッションを通じて、一人一人の中にあるウォンツを見つめ直し、事業構想を組み立てていく作業はとても大変だったのではないでしょうか。せっかく出会ったチームですから、皆さんで新たな挑戦をして、十勝帯広をいい地域にしていきましょう」と声をかけて締めくくりました。

TIP9参加者・関係者による記念撮影

TIP9期の10チームは主催者の帯広信用金庫や十勝19市町村、野村総合研究所、とかち財団など、支援機関の力を借り、事業に向けて歩んでいきます。現在までの23件の事業、14法人からどこまで拡大し、十勝にどのようなイノベーションを巻き起こしていくのでしょうか。皆さんの今後の展開や活躍を期待しています!


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