2021年12月22日、「とかち・イノベーション・プログラム2021(TIP7)」の「事業化支援セッション」が開催されました。オンラインでライブ配信された本プログラムをレポートします!
とかち・イノベーション・プログラム(TIP)とは
十勝での新事業創造を目指す参加者が、セッションを通して「仲間」を見つけ出し、事業プラン発表までを支援するプログラム。2015年に第1期が実施され今回で7期目。主催:帯広信用金庫
共催:十勝19市町村
協力:野村総合研究所、とかち財団、北洋銀行、北海道銀行
協賛:松井利夫(株式会社アルプス技研 創業者 最高顧問)、敷島製パン株式会社、フジッコ株式会社、サッポロビール株式会社北海道本部、富士通Japan株式会社北海道支社帯広支店、アース環境サービス株式会社札幌支店帯広出張所
7回目となる本会は、6つのチームが事業アイディアを発表。昨年に引き続きオンラインでの配信となりました。まずは本プログラムの司会・進行役の帯広信用金庫・地域経済サポート部の三品幸広さんが開会を宣言。
(左から)帯広信用金庫・理事長の髙橋さん、帯広市長・米沢さん
主催者である帯広信用金庫の髙橋常夫理事長から「第1回目から全ての発表を見ているが、毎回発表を聞いた時の感動は非常に大きい。十勝を日本で最も挑戦的な地域にして欲しい」と開会の挨拶がありました。
続いて、共催である十勝19市町村を代表して帯広市長の米沢則寿さんより「未来は予知するものではなく、自分で可能にするもの。皆さんが諦めない心を持ち、『Wants』を叶えていくことを期待している」と、発表者に向けてエールを送りました。
発表に先だって、野村総合研究所の大江さんから、これまで4ヵ月にわたって行われた15のセッションについての説明と、「十勝が日本のイノベーションを牽引していくという気概を持ってチャレンジしてほしい」とこれから発表する皆さんの背中を押しました。
それでは、TIP7の参加チームによる事業化アイディアの発表が始まります!
チーム名:MAME ASOBI
チームメンバー:小池瑞希さん/浦木明子さん/藤浦有希さん/西島圭子さん/千葉恵里さん/三浦啓太郎さん
東京から本別町へ移り住み、地域協力隊としても活動している小池さんは「本別町の豆が素晴らしいのに知名度がない」ことを課題とし「本別町産の豆を他の食材、豆と人を掛け合わせて、これまでの『豆』イメージを覆す商品開発を行います」と説明。主力商品は25種類の豆を組み合わせて作る「豆のピクルス」や、豆をペースト状にした「フムス」など。これらを「食」「デザイン」「写真動画撮影」のプロが集まったチームの特性を活かし「お客様が商品を手に取って嬉しいと感じる演出に力を入れます」と事業内容を説明。最後に「『Made in HONBETSU』を全国各地へ届けます!」と締めくくりました。
事務局サポーター:中島済さん
十勝は食材が素晴らしいのにアピールが弱いなと感じていた。今回、お洒落さを追求できる「映えのプロ」が多く集まったこのチームが商品開発することで、十勝ブランドに刺激を与える存在になって欲しい。
チーム名:畑で十勝を元気にする会
チームメンバー:三浦尚史さん/品田裕子さん/上野美幸さん
広大な畑で小麦や小豆、ビートなどを栽培し農業を営む三浦さんは「農家の視点から十勝の魅力を発信したい」と、自身の畑をトラクターでクルーズするアクティビティ事業を創案。また「たくさんの人に十勝の食材そのものの美味しさと、畑の景色を楽しんで頂きたい」とし、クルーズの途中で、収穫したての旬の食材が味わえるプランを説明。「十勝の音更町で生まれた以上、地域がもっと発展、活発になって欲しい」と願いを込めました。
事務局サポーター:小野寺智美さん
モニターでトラクタークルーズを体験した際、360度何も邪魔するものがない畑の中を、突き進む光景は忘れられない時間となった。そこで提供された料理からは「お客様をおもてなししたい」という想いが感じられた。この貴重な体験は、十勝の事業として欠かせないものになると確信している。
チーム名:ほっカフェ
チームメンバー:曽根裕恵さん/小笠原慶さん/米脇将郁さん/後藤はる香さん/花房めぐみさん/早川ゆかりさん/三浦啓太郎さん
珈琲の自家焙煎事業をしている小笠原さんと、人材育成事業をしている曽根さんを核に「お母さんが子どもを連れて『ほっこり』して『イキイキ』するカフェ」の事業説明がありました。「お母さんがイキイキし、子どもがイキイキすることで、家庭も地域もハッピーになる」と考えるチームによるカフェ事業は「無料」にこだわり、カフェ運営費は全てスポンサーからの協賛金で賄う事業計画。協賛したスポンサーは、カフェに集まるお母さんに、直接広告でアプローチしたり、モニターや商品開発などの協力要請ができる仕組みとなっており、カフェ・お母さん・企業の全てがWIN×WIN×WINになる関係を目指します。
事務局サポーター:山川知恵さん
チーム全員が『ほっこり』人材で、素晴らしいチームワークでプログラムを駆け抜けてきた。このチームのクレイジーポイントは、採算が取りずらいカフェ業界だが、悩むことなく「美味しい珈琲を振る舞う」ということだけに専念できること、そして非常にパブリックな事業構想だが、それを民間の力だけで仕組みを構想した点。実際に地域にこんなカフェがあったら良いなと思うと同時に、このカフェがあれば地域の発展は間違いないと思う。
チーム名:OOO(トリプルオー)
チームメンバー:杉山政秀さん/佐藤晃祥さん/宮澤嘉裕さん
「オヤジならではの価値観で、オヤジにアプローチできるのは我々しかいません!」と、事業説明するのは杉山さん、佐藤さん、宮澤さんの3人の”オヤジ”。昼は真面目に仕事に取り組み、夜は新橋駅(東京)周辺で飲んで愚痴って楽しむ、通称”新橋オヤジ”。そんな新橋オヤジが求めているコンテンツが十勝に溢れているところに目を付け、十勝の飲食・食材・体験をサブスクリプション(月額定額利用方式)で提供する事業モデルを構想。最後に「十勝の魅力でオヤジの生きる力を活性化させます!」と締めくくりました。
事務局サポーター:早川梨穂さん
この事業の主犯である杉山さんは、昨年の「TIP6」にも参加するも、発表まで辿りつけず悔しい思いをしたが、今回は良いリベンジとなった。当初の計画にあった「新橋に出店」や「サブスク」などの案にはメンターから厳しいフィードバックがあったが、それでも3人のオヤジたちの熱い思いがあってここまできた。1人でも多くの新橋オヤジに十勝の魅力を広げていって欲しい。
チーム名:つながるはたらく
チームメンバー:神宮司亜沙美さん/鈴木香織さん/佐藤賢一さん/坂口桃花さん
自身もこれまで育児や親の介護などで、働き方を大きく変えてきた経験を持つ神宮司さんは、自分らしい働き方を探求する学びの場としての「ロカリエカレッジ」、そして苦手なことを外注し自分らしく働くことをサポートをする「アウトソーシング」の2事業を説明。「1人でも多く自分らしく働く人を増やし、幸せに生きる人を増やしたい」と抱負を語りました。
事務局サポーター:角畠あさみさん
このチームの強みは個人の幸福度を高められること、そしてやむを得ず離職してしまった人の復職の機会を担う可能性のあるビジネスだと感じている。チームメンバーのスキルも高いので、実現する可能性が高いと思っている。また、自治体や支援機関のと親和性が高いので、協業の可能性を模索して頂ければと思う。
チーム名:十勝No.1メディア
チームメンバー:北川宏さん/高津裕也さん/神戸明さん/工藤美佐さん/佐藤賢一さん
記者や編集者を長年経験してきた北川さんが説明するのは、十勝を世界と繋げて豊かにするウェブメディア「to ツナガル」の事業構想。「圧倒的におもしろいメディアが地方を救う」というコンセプトのもと、「役に立つコンテンツ」「得するコンテンツ」「おもしろいコンテンツ」の3つテーマで展開。地元の人が出演する市町村PR動画制作の他、十勝発のプロレス団体の設立など、バラエティ豊かな構想の説明がありました。最後に「10年以内に日本No.1ローカルメディアになる」と目標を掲げました。
事務局サポーター:濱田安之さん
事業のミッション、メンバーの仲の良さ、繋がりの強さが良いと感じるチームだった。私自身も、事業とこのメンバーのファンとして、これからの活動を楽しみにしている。
ムラタオフィス株式会社の村田さん
全ての発表が終わると、本プログラムのアドバイザーであるムラタオフィス株式会社代表の村田利文さんから「今年のプレゼンは非常に実現性が高い」と率直な感想がありました。なかでも「事業の絞り込み方」と「顧客の絞り込み方」が良かったと述べ、どの事業もスモールスタートが可能な点を評価。最後に「是非、事業化に着手していって欲しい」と期待を込めました。
野村総合研究所の齊藤さん
セッションの最後は、本プログラムの開発者である野村総合研究所2030年研究室長の齊藤義明さんから挨拶がありました。「コロナ禍での開催できたことに感謝したい」と関係者への感謝を述べ、「7期を経てTIPは1個の生命体の様になってきた。今回の発表事業がすべて、この十勝で事業化したいと、強く強く思っている!」と語気を強めました。そして最後に「誰にも止められない、自分でさえ止められない」という意味の「unstoppable」という言葉を発表者に送り、セッションを締めくくりました。
TIP7参加者・関係者による記念撮影
7回目となった今回も、十勝の魅力や資源を最大限に活かした事業プランが多く発表されました。今後、事業構想をより具体化するために、発表者たちがどういった行動をとっていくのか…非常に楽しみです!