8月10日に実施された「2019年度学生起業家育成奨学金事業 ビジネスプラン発表会」のレポートをお届けします!
「とかち財団学生起業家育成奨学金」とは
2018年4月、公益財団法人とかち財団と公益財団法人起業家支援財団(横浜市)が合併。これを機にスタートした「とかち財団学生起業家育成奨学金」制度は、とかち財団が実施する「十勝ビジネス応援プロジェクト2018」への取り組みのひとつ。地域に“雇用を生み出す”経営者育成のため、若者の起業・創業を支援する。応募対象者は起業を目指す※学生であり、申請書類には「ビジネスプラン」が含まれる。
※起業の時期は問わない。
詳細はこちら <とかち財団学生起業家育成奨学金 特設ページ>
昨年度スタートした本事業。応募者多数となった今年度は、帯広畜産大学(6名)、慶応義塾大学(2名)、北海道大学(1名)、名古屋大学(1名)の計10名が採用されました。
そして迎えたこの日、東京滞在中の1名を除く9名が、十勝内外から「LAND」に集結!来られなかった1名は、中継で参加します。
とかち財団の飛川さんによる開会、長澤理事長の主催者挨拶が行なわれ、いよいよプレゼンテーションが始まりました。
トップバッターは、東京から中継で参加することになった中村さんです!
薬学生から医学生となり、再生医療や脳腫瘍研究に励む中村さん。自身も心臓疾患の経験がある中村さんは、口内の痛みや嚥下障害によって食事を楽しめない人に向けた「完全栄養チョコレート」の開発・販売を目指しているそうです。“おいしく、食べやすく、栄養がとれる”チョコレートを生み出すべく、試作を重ねているのだとか。志を共にする学生仲間、ドクター、管理栄養士等のサポートを受けながら開発を進め、製造はチョコレート専門店に委託する予定なのだそうです。
過去に、生産者主体のメニュー開発事業でマーケティングに携わったという土屋さん。この時、オリジナル商品の開発や販路拡大を図ろうとする生産者が、「業者の選定基準や料金の相場が分からない」といった悩みを抱えていることを知り、需要と供給がマッチする難しさを感じたそうです。そこで、十勝管内の生産者と中小企業のマッチングを行うプラットフォームを設け、双方から仲介手数料を得て収益を上げるサービスを考案。本サービスを通して、十勝の農業経営の多角化が進み、一次産業全体が盛り上がる将来像を描いているそうです。
大学2年修了後に訪れたカナダで「ミツバチ」の魅力に目覚めた萬田さん。短期間に大量のミツバチが失踪する「蜂群崩壊症候群」が報告される現状を危惧し、ミツバチを守る決意をしたそうです。2018年、帯広畜産大学の学生サークル「BEEHAVE」を立ち上げ、大学の屋上でミツバチの飼育を始めたのだとか。今後は、採取した「蜂蜜」を瓶詰に、「蜜蝋」は蜜蝋キャンドルに加工し、学内のイベントやカフェなどで販売。これらの商品を“ミツバチの重要性を発信するツール”として活用するそうです。将来の目標は「ミツバチ研究所」や加工品工場の設立とのこと。
十勝出身の井上さん(左)と山本さん(右)。人目を気にせず、やりたいことや“ときめき”を口にしやすい社会の実現を目指し、恋愛シミュレーションゲーム「smart kiss」の開発に着手したのだとか。ゲームの舞台は大学。大学生活に憧れを抱く女子高校生をターゲットとし、“専門分野を語る知的なイケメンキャラクターと恋愛する”という内容で制作を進めているそうです。目標は、2020年末までに4万ダウンロードの達成。次のステップとして、同ジャンルの新たなコンテンツ開発を計画しているのだとか。将来は、十勝での起業を視野に入れているそうです。
2018年度も採用された芹澤さん。自身が「アウトドアガイド」となる昨年度のプランを、多数のアウトドアガイドが登録するマッチングサービス「トカチマッチ」に進化させたそうです。それは、アウトドア体験を重ねる内に“十勝の魅力を伝えるには、一人のガイドでは限界がある”ことを実感したからなのだとか。本サービスでは、利用者と、利用者が希望するアクティビティにおいて高いスキルを持つガイドをマッチング。利用者の「やってみたい」を叶えるだけでなく、ガイドを副業にしたい人、プロガイドを目指す人の“仕事を創る”ことも目標のひとつだそうです。
家畜の生殖細胞を研究している兵庫さん。生殖細胞に焦点を当てると「家畜の繁殖技術」と「ヒトの生殖補助医療」には類似点が多く、互いの進歩に寄与してきた歴史があるのだとか。十勝の畜産業の発展と、少子化対策(不妊治療)につながる可能性を秘めた二つの分野。病院・大学・研究機関の専門家と生産者が集まる分野横断的な勉強会「Rチャットカフェ」を開催し、そこに地域の人を巻き込むことで“畜産とヒトの繁殖問題を解決する新しいアイディアが見つかる”と考えたそうです。勉強会を通し、地域活性化に貢献するのが目標とのこと。
北見市常呂町の酪農家に生まれた大江さん。牛乳を固めて作る「牛乳豆腐」の開発・販売を通して、酪農の魅力を発信したいと考えているそうです。主原料となる牛乳には、「畜大牛乳」を使用。「畜大牛乳」は、帯広畜産大学の学生サークル「うしぶ。」が搾乳した生乳を加工した商品なのだとか。
モッツァレラチーズとよく似た食味の「牛乳豆腐」。製造に長時間を要するモッツァレラチーズに対し、10分で完成する「牛乳豆腐」なら、価格優位性を確立できると考えているそうです。今後は、製造・流通に関する課題解決に向けて活動するとのこと。
十勝出身の口田さんは、自身の大学入試を機に都市と十勝の教育格差を実感。大学進学後、個人塾の経営を始めたそうです。その内、“難関大合格を目指す十勝の高校生を応援したい”と考えるようになったのだとか。国立大学のAO・推薦入試の入学者割合が16.8%(2018年)から30%まで拡大される2021年度を見据え、十勝帯広を拠点とするAO・推薦専門塾の開業を目指しているそうです。開業初期は、公共施設やレンタルスペースを活用。次の段階で、帯広駅周辺に教室を構え、指導マニュアルの制作・後任の育成に取り組むのだとか。将来は、北海道各地に展開する計画なのだそうです。
育てやすく、美味しいパンが焼ける「スペルト小麦」。「スペルト小麦」の品種開発から、生産・製粉・販売までを一貫して担う事業を考案した平田さんは、昨年度に続いて2度目の採用となりました。今後は、帯広畜産大学で「スペルト小麦」と既存のパン用小麦の交雑品種を開発。種子の確保を目指すそうです。そうして、十勝の生産者を中心に、種子の確保・栽培方法・資材調達・製粉後の販路確保までをセットで販売。製粉は販売先のニーズに合わせて自社で行い(最小ロット50㎏)、その「製粉料」を収益の柱にするそうです。
こうして、採用者10名によるプレゼンテーションがすべて終了!
最後に、2018年度奨学生 杉浦大斗さんからメッセージが送られました。
「一緒に十勝を盛り上げていきましょう!」
第2期生のプレゼンテーションに、“十勝地域の経済発展”を予感した会となりました。今後の活躍が楽しみです!