十勝Z団(トカチゼットダン)

公益財団法人とかち財団

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今年で4年目‼︎高校生課題解決型プログラムTokachiEGGs2024レポート

2024年7月30日〜8月2日、高校生団体『CAN-PASS』が主催する十勝の高校生を対象とした課題発見・解決プログラム『TokachiEggs2024』が開催されました。
真夏の十勝を高校生が駆け回る4日間のイベントをレポートしていきます!


「十勝の課題はなんだろう?それに対して私たち高校生ができることは?」


CAN-PASSが企画するTokachi Eggsは、十勝の高校生が大学生メンターと一緒に地域の課題を見つけ、その解決策を考える『課題解決型青春体験プログラム』です。今年で4回目の開催となり、過去には、企業と協力してコワーキングスペースのリニューアルをプロデュースしたり、冬に高校生が行きたくなるような駅前イルミネーションのデザインを提案するなど、実際に高校生が考えたアイディアが地域の中で実現する事例も生まれています。4日間にわたるプログラムでは、今年も4つのチームに分かれて自分たちにできることを考え、最終日にはその成果を発表します。


主催【CAN-PASS(キャンパス)】
2020年3月に「マスク橋渡しプロジェクト」をきっかけに発足した十勝の学生による高校生団体。初代代表の明日見和佳さん(当時高校3年生)が本プログラム「Tokachi EGGs」の第一回目を開催し、今年で4回目となる。現在は長瀬 幸奈さん(高校2年生)が代表を務め、活動を続けている。

CAN-PASS4代目代表 長瀬 幸奈さん



本プログラムを共催するとかち財団は、「十勝の課題を発見し、解決策を考える」という体験は、「起業家がビジネスを作っていく際の考え方にも繋がるものである」と捉え、高校生ならではの感性で十勝の未来や自身の将来への可能性・選択肢を広げて欲しいと考えています。課題を通じて仲間と思う存分楽しみながら、それぞれの価値観や視点に触れ共有することで最高の青春を過ごして欲しいと期待します。


DAY1


イベント1日目。LANDに続々と集まる参加者たちは総勢15名。TokachiEggsに興味を持ち集合した夏休み真っ只中の高校生たちは、初参加や初対面の人も多く賑やかにイベントが始まります。


自己紹介タイム


まず参加者全員での自己紹介タイムが始まります。

今回のTokachiEggsでは高校生が自ら大学生に声をかけ、メンターとしてイベントへの参加を依頼しました。高校生が迷いや不安を感じたときにメンターに相談したり、リードしてもらえるよう、各チーム一人ずつ参加してもらいます。

メンターの一人である東京都在住青山学院大学2年の岡野こうがさんは、今回TokachiEggsを機に初めて十勝に来訪されたそうです。大学では児童養護施設を中心にプログラミングのレクチャーや教材の制作をはじめSNSを運用した活動もしているそうで、十勝の土地柄を知らないからこそ生まれる新たな視点は参加者にとって新しい価値観をうむきっかけになりそうです。

また、LAND主催の学生イノベーターイベント『爆風2024』の登壇者でもある北海道教育大学岩見沢校の三寺綸さん、北見工業大学で食品ロス削減の観点から食堂で出る生ゴミを堆肥化するコンポストプロジェクトを行う杉山拓光さん、エストニアでのビジネスプランコンテストに出場経験のある北海道大学の藤本学斗さんの4名の方にメンターとして参加してもらいました。

(左上)岡野さん、(右上)三寺さん、(左下)杉山さん、(右下)藤本さん



参加者の高校生による自己紹介タイムでは、TokachiEggsに参加したきっかけや現在取り組んでいること、趣味や特技などを共有し4日間の意気込みを伝え合いました。

チーム内交流・全体交流


TokachiEggsの4日間では、事前にアンケートをした自身の興味関心ごとに近い人たち同士が集まるようチームが組まれ、4つのチームに分かれて活動します。学校も学年も違う高校生同士が初対面で一つの目標を見つけていくため、まずはお互いを知る時間をつくる交流タイムが用意され、現在学校生活で取り組んでいることやそれぞれの夢や目標を語り合いました。


ペーパータワーチャレンジ!


午後のスタートは全体レクリエーションから。A4の紙が各チームに配られ、どんな方法を使っても構わないので制限時間内に一番高さを出すことの出来たチームが優勝となり、高校生たちが様々な方法でトライ。積み上げたものが崩れてしまったり、作戦が上手くいかなかったりと大盛り上がりでした。


フィールドワークで課題探索


レクの後は、いよいよLANDの外に飛び出し課題を見つけにいきます。十勝の課題を見つけるためには、まずは自分たちが興味のあること・やりたいことをしてみよう!と動き出すチームが多く、駅や街中のお店、市内の公園に行くチームも。TokachiEggsでは普段交わることのない仲間同士が出会い、全力で楽しみながら、地域の課題解決に取り組むことが目的の一つでもあり、その姿からはまさに青春が感じられます。
楽しむなかで十勝の課題に繋がるヒントを見つけたチームもあり、2日目以降の活動に期待が増します。


DAY2

井上さんによるソウルセンテンスワーク


Tokachi EGGsでは、普段の学校生活ではあまり聞けない話題にも触れ、新たな発見を促すことを目的として、2日目と3日目の前半に外部講師による講話の時間を設けています。2日目の前半は、大分県立命館アジア太平洋大学の井上琴乃さんによる「人・自分って趣深い!」を学ぶソウルセンテンスワークから始まります。井上さんはこのワークを通して『みんなの夢や心の中の情熱を言葉にすること・みんなのやる気スイッチをオンにすること』が目標と言います。


ソウルセンテンスとは、自身を突き動かす想いであり、ゴール。すべての夢・目標の根源にあるものを表します。ソウルセンテンスワークとは、自分のなかにあるソウルセンテンスを理解することで、夢や目標を具現化していくワークです。

ワークの終わりには、自身の心の根源にあるとされるものが可視化されたことで自分でも気が付かなかった夢や目標を知ることができたり、自身を見つめ直すきっかけになりました。


行き詰った末に河川敷へ・・・?


午後からはチームごとに分かれたフィールドワークが行われました。中には、行き詰まってしまい河川敷で時間を過ごすうちに課題を見つけたチームや、語り合い過ごしたなかで課題が決まり翌日の活動に意気込むチーム、課題解決のために街頭やオンラインでアンケートをとったチームなど、それぞれが意欲的に活動しました。


DAY3

右田さんによる講話


3日目の前半は、外部講師としてLINEヤフー株式会社に所属するエンジニア、右田幹さんをお迎えし、講話がスタートしました。
右田さんは、これまでの人生で経験した挫折や挑戦、訪れた多くの地域について語ってくれました。
2年前に大学を卒業したばかりの社会人として、先輩となる右田さんのお話は、参加している学生たちにとって、とても新鮮で刺激的な内容でした。


情報収集のために外へ外へ!


本日のフィールドワークから、より具体的に課題解決に向け高校生たちが十勝を駆け巡ります。各チームが実際にお店や関連する場所に足を運び課題の深刻度を調査したり、解決策に近づく情報を得るために電話や街頭インタビューをしたり、情報収集に走り回る高校生たちでした。


DAY4

いよいよまとめ!チームでプレゼン資料作り!


4日間のTokachiEggsもあっという間に最終日。プレゼン発表を控え、資料作りや発表準備が行われます。なかにはギリギリまで調査を続けるチームも。期待が高まるなか、いよいよ発表がスタートです!


チーム十勝鹿


『チーム十勝鹿』は、狩猟された鹿の肉が市場に出回らずに処分されていることを問題視し、サプライチェーンの確保を課題としました。近年生態系保全の観点から狩猟される鹿の数が増加しており、またその多くが処分されている現状から、解決策を考えるためにSNSを活用したアンケートや猟師や鹿肉を扱う飲食店へのヒアリングを行いました。アンケートの結果から、その背景にはサプライチェーンの未構築や猟師の人員・技術不足、十勝=鹿肉というイメージが薄い点にあると考えます。解決策として、鹿肉製造販売業者の起業や、十勝の特産品としての鹿肉ブランドの確立、WebやSNSによる鹿肉のBtoCの認知を広めることを掲げます。さらに、ジビエ料理を提供・鹿肉産直販売・猟師との交流ができる『鹿フェス』の開催を提案しました。

チームRain


『チームRain』は、「十勝にはTokachiEggsのようなプログラムに参加する高校生が少ないのではないか?」という課題に注目しました。高校生51名にアンケートを実施したところ、TokachiEggsのようなプログラムに参加しない理由として「イベントが少ない」「ハードルが高い」「勉強や部活で忙しい」「意欲がない」などが挙げられました。一方で、約90%が「もっとイベントを開催してほしい」と回答し、参加したいイベントとしては、SNS映えし、幸福感や承認欲求が満たされるお祭りや音楽フェスが多く選ばれました。これを踏まえ、チームRainは「SNS映え×自己啓発」をテーマに、夜の星空の下で映画を鑑賞し、その後に意見交換を行うイベントを提案。将来的には、高校生主催の複合型音楽フェス『とかちTEENフェス』の開催も視野に入れています。

チーム飴ちゃん


『チーム飴ちゃん』は、過去5年ほどで十勝の人口が1万人ほど減少していることに触れ、近い将来に経済的な活気減少や人材不足に陥ることを懸念し、十勝に興味がある方にむけ移住の選択をしやすくするアプローチとして『十勝にカモン!とかもん』を考案。とかもんは、旅費を助成することで低コストに十勝に訪れていただき、農家バイトでお金を稼ぎながら十勝での移住体験が実現できる ”十勝型リゾートバイト” システムです。農家さんへの調査の結果、畑だと天候に左右され仕事のない日も生まれてしまうため、畑農家より酪農の方が実現しやすいとアドバイスをいただきました。
この結果を基に、天候に左右されない短期アルバイトを提供する『とかもん利用者向けアルバイトサイト』の構築も検討しています。また、農家には住み込みで働ける環境を整え、十勝のホストファミリーとして受け入れてもらうことを目指しています。さらに、利用者には休日に十勝の観光を楽しんでもらい、その体験をSNSで発信することで、十勝の魅力を広めていくことも目指しています。

チームカサノトッテ


JKらしい新しい風を吹かせます!とキラキラとした笑顔でスタートした『チームカサノトッテ』は、1日目の交流タイムの際に親睦を深める目的で訪れたカラオケ店で、十勝には、みんなで盛り上がれるイベントが少ない!という意見を交わし、市民が盛り上がる場所の提供を考えました。街頭インタビューで「帯広市が誇る公園グリーンパークが夜は街灯もなく暗い雰囲気で勿体無い」との声や、「夏のイベントが少なくて残念」などの声が聞かれたことから、カラオケ店にあったミラーボールからヒントを得て、人が多く訪れる場所にミラーボールを設置することで、街を盛り上げる『十勝ベジライト』を考案。『十勝ベジライト』とは農業大国である十勝の活性化とPRを目的とした農業×ミラーボールを併せたライトアップイベント。明るい時間帯には、農家さんによる産直販売や十勝産食材の調理体験、夜のライトアップイベントへ向けたランタン作りなどのイベントを実施し、夜にはミラーボールを中心にイルミネーションと音楽を楽しむイベントです。十勝が一丸となり多世代で楽しむことができるアイデアを提案し、実際にミラーボールのモデルを制作し会場内を沸かせました。


全4チームの発表が終わり、最後にはメンターからフィードバックをいただきました。メンターからは、青春プロジェクトに携わることで自身にも気づきがあり充実した時間を過ごせたとの声や、考えるより先に行動することの大切さや一度立ち止まり振り返ることで見つかることもあること、想像力の豊かさをこの先も大切にして欲しいことなど、参加者に向け温かいメッセージが贈られました。

最後にLANDスタッフからは、高校生団体CAN-PASSが主体となり大学生メンターと協力しながら今回のイベントをやり切ったことに称賛の言葉が贈られ、課題を見つけ解決策を考え自ら挑戦する過程は、現代社会で求められる起業家精神『アントレプレナーシップ』に直結すると伝え、このマインドを自分の将来に活かして行って欲しいとエールが送られます。


全体レクリエーション


最後は参加者全員でピザパーティーが開催されました!4日間夢中になって最高の夏を駆け抜けた参加者たちには熱い絆が生まれ、達成感や充実感で溢れる様子でした。高校生たちの今後の活躍が今から楽しみです!