十勝Z団(トカチゼットダン)

公益財団法人とかち財団

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令和6年度 LANDサークル「ビジネスプラン構築プログラム」の実施レポートをお届けします!

だんだんと紅葉がはじまり秋晴れが続く十勝で、LANDサークル生を対象としたビジネスプラン構築プログラムが開催されました!今回はサークル生9名がLANDに集合し、穏やかな雰囲気のなかプログラムがスタートです!

まずは、とかち財団の山口さんから趣旨説明があります。


今回の活動は、これまでLANDサークルとして、いろいろなプログラムを通じビジネスについて学んできたサークル生が、講師に日本政策金融公庫の和田裕介さんを迎え、自身の興味・関心ごとからビジネスアイデアを考案し、課題解決やニーズに添ったビジネスに結びつけ、より具体的なビジネスプランの構築を目指します。

さらに山口さんから、12月21日にとかち財団が主催する十勝発学生ビジネスイベント『TOMOSHIBI〜灯火〜』の開催についての説明を受けました。『TOMOSHIBI〜灯火〜』は、学生起業を経験された方によるキーノートスピーチや、現役学生起業家によるゲストピッチ、さらに起業を目指す学生が登壇するビジネスプランコンテスト「TOMOSHIBIビジネスグランプリ」などが開催されるイベントです。そして今回LANDサークル生たちは、この「TOMOSHIBIビジネスグランプリ」の登壇を目指します。多くのLANDサークル生にとって初のビジネスプランコンテストとなるため、大きな目標が見え、参加者はより熱い想いで本日のイベントに臨みます!!

日本政策金融公庫 和田裕介さんによるビジネスレクチャー


今回講師としてレクチャーしてくださるのは、日頃から中小企業への融資やビジネスプラン構築の企業向けレクチャー等を多数実施しており、ビジネスプラン構築に精通する株式会社日本政策金融公庫 中小企業事業統轄の和田裕介さん。さっそく和田さんの講義がスタートします!

まずは、いま現在自身の持つ不安感や気がかりなことの心の内を参加者同士で共有する時間が設けられました。3つのグループに分かれ、自身の興味関心ごとを実際にビジネスに繋げるにあたってどのようなことを不安に思っているのかをお互いに伝え合います。参加者からは、自分のアイデアにどのくらいのニーズがあるのかや、自身のアイデアがビジネスとして成り立つのかなど、不安な胸の内が明かされました。

自身の不安ごとや気がかりから目を逸らさずに受け入れ、それぞれの不安を参加メンバー同士が理解し合うことで、より講義への理解が深まると和田さんは話します。また、マイナスな気持ちをあえて共有することで絆や仲間意識を感じて欲しいと想いを伝えます。
不安感と改めて向き合うことで、今一度スタートラインに立つ参加者たち。今日の講義では、各々が持つ不安の解決に繋がるヒントも見つけていきます。


様々なビジネススタイルの理解


まず最初にこれから起業を考える参加者たちが、自分のビジネススタイルは何を目的とするのかを考えるため、ビジネススタイルの3分類「エコノミック(経済)」「ソーシャル(社会)」「ライフ(生業)」のについてレクチャーします。
この3つの視点から自身と向き合うことで、自身のアイデアはどのビジネススタイルから生まれたものなのかを振り返る時間になりました。

どんな企業(ビジネスモデル)を目指すか


次に、自身が目指す企業はどのような姿かを確認するため、「 スタートアップ企業」「地域牽引企業」「スモールビジネス」などの企業の分類とビジネスモデルを紹介していきます。

和田さんは実際の企業のビジネスモデルを紹介し、具体的な事例を用いて参加者の理解を深めます。自身の考えやアイデアが目指す企業の姿として、すでに世の中にあるビジネスモデルをイメージしながら、近いものがあれば参考にしながら自身の考えをブラッシュアップしていって欲しいと参加者へ伝えます。

ビジネスアイデアのつくり方


自身が目指すビジネスのスタイルと事業のモデルを確認したところで、では自分はどういう想いでビジネスに取り組もうとしているかを考えます。そこで事業を始める前には『Will(意思)-Can(経験・人脈)-Need(需要)』が大切だと和田さんは話します。

創業計画を立てるときには、この『Will-Can-Need』を揃えて形にしていくことがヒントになると言い、さらにビジネスアイデアの作り方にはいくつかのチェックポイントを意識するとイメージがつきやすいと『4P分析』のワークをします。
4P分析とは、『Product(製品)どのような製品を』『Price(価格)どのくらいの価格で』『Place(流通)どのような販売手法で』『Promotion(販売促進)どうやって宣伝をして』商品を届けていくかと、4つのPに分けて分析することで自身がどういうマーケティング方法で商品を届けていくかを具体的に分析する手法です。
その他にもマーケティングの手法として、3C分析や価値のリフレーミング、ビジネスモデルの模倣など実例を踏まえながらご紹介いただきました。

講義を終えた参加者からは、「模倣することは、アイデアの磨き上げのヒントとして自身にとって新しい視点であった」「色々な企業のモデルをビジネス的な目線で知ることは自身のビジネスプランをより納得するものにできると思う」「アウトプットばかり意識していたけどインプットの重要性を再確認した」「スタートアップに近いものを目指していたけど、まずはスモールビジネスでニーズを知りながら磨き上げていく過程でもいいのかなと起業に対する視野が広がった」などの声があがり、学びの多いワークとなりました。


発表資料作成


午後からは和田さんの講義をもとにそれぞれが自身のビジネスプランを落とし込んでいきます。アイデアがなかなかまとまらずに苦戦する姿もありましたが、和田さんをはじめ、とかち財団スタッフの協力を得ながらプランづくりに奮闘します。


ビジネスプラン発表会


いよいよ本日の集大成ビジネスプランの発表が始まります。現在はアイデア段階で形になっていないものでも、少しでも自身の思い描くビジネスの方向性を定めていくことを目標としています。

帯広畜産大学 1年 菊池 悠斗


スキー場が抱える問題に着目した菊池さんは、年々スキー場の利用者が減っていっているという課題に触れ、4〜10月の夏シーズンにスキー場を有効利用できないかと考えます。そこで、夏場に使用されないリフトを活用し生ハムの製造をするという斬新な切り口でビジネスプランを考案し、今後はさらに具体的なプラン構築を目指します。

帯広畜産大学 3年 木原 淳兵


十勝の農業力を活かして干ばつに苦しむガーナの貧困農家を救うプランを考案する木原さん。ガーナ北部は貧困地域であることが問題となっており、適切な医療が受けられずに栄養失調で亡くなってしまうなど、その現状は深刻です。現地では干ばつにより農作物の収穫が難しい年があることに加え、マーケットの規模が少なすぎることに着目。そこで、干ばつに強く栄養価の高い芋類を適正な価格で買い取り、都市市場へ販売することにより貧困層の小規模農家への収入の増加を目指します。

帯広畜産大学 3年 中原 葉南


北海道は美味しい和牛の生産地でもあるにも関わらず、和牛の生産地としての全国的な認知度がまだまだ低いと中原さんは言います。そこで、北海道和牛を全国的に広めることを目指し、札幌市で北海道産の食材とお酒を楽しめるビアガーデンを開催するアイデアを考案。観光客が集まりやすい札幌市は、公共交通機関も充実しており多くの来客が見込まれるのではと期待します。アイデアの実現に向け、北海道和牛の認知度を広めたいという想いに賛同してくださる道内の店舗と協力体制をとりながら実施していきたいと話します。

帯広畜産大学 4年年 王 金栄


中国からの留学生である王 金栄さんは、自身の背景を活かし、中国と日本の文化の橋渡しになるようなビジネスモデルを目指しています。SNSを通じて、中国と日本それぞれのおもしろい文化や観光スポットを互いの言語に翻訳して発信することで、日本への留学に興味を持つ中国人を増やすと同時に中国への日本人観光客も増やしたいと言い、日本人観光客に対しては『地元人ならではの楽しみ方で中国旅行を提供するようなサービス』を作り上げたいと話します。

帯広畜産大学 3年年 檜山 志歩


檜山さんは、狩猟された動物の骨は副産物として廃棄されている現状を知り、骨の新たな価値の創造を目指します。日本は死に対する抵抗感が強い国であると同時に骨に対しても抵抗感を持つ人が多いため、家に骨を置くこと自体需要が少ない現状から、骨や毛皮にデザインを加えることでアートやインテリア作品としての魅力を引き出し、需要を拡大していきたいと言います。具体的には、骨に墨絵でデザインすることで、日本の文化と掛け合わせた作品を制作し、日本のみならず世界に向けた商品製作を目指します。

帯広畜産大学 3年年 小倉 ことみ


年間14万頭前後の蝦夷鹿が捕獲されているうち、解体処理施設でジビエとして活用される頭数は3500頭前後という現状から、小倉さんは、駆除された蝦夷鹿がほぼ活用されていないことを問題提起します。『肉も角も骨も皮も奪った命は丸ごと一頭活用する』を人生のテーマとして掲げているという小倉さんは、蝦夷鹿と知育玩具を掛け合わせた商品の製作や家族層向けの解体ワークショップの開催を企画し、子供たちを通して蝦夷鹿の魅力を全国的に届けていきたいと語ります。


帯広畜産大学 3年年 大野 理人


現在北海道のチーズを広める活動を続けているという大野さんは、実際にチーズの販売活動をした経験から、商品の購入には試食が重要であることを感じました。さらに、試食とともにひとつ一つの商品を知ってもらうことは消費者の購買意欲に繋がるが、実際には大量の種類に対して説明するには人的資源や時間がかかり効率が悪いことを問題提起します。そこで、試食提供ロボット『MOGUMOGU』の開発を考案します。主に手が回らない小売店等をターゲット層に製品開発を目指します。

帯広畜産大学 3年年 山形 紫野


同業者やビジネスパートナーと知り合える機会の少なさを感じた山形さんは、ビジネスに特化したコミュニティサイトの運営アイデアを考案します。このコミュニティサイトでは、オフィスワークだけではなく様々な働き方がある現代に地域のカフェやコワーキングスペースと連携してワークスペースが検索できたり、検索機能を多様化させることにより同業者または異業種のビジネスパートナーをマッチングアプリ形式で検索できます。ノマドワーカーが急増する現代において、今後このコミュニティサイトの活躍が期待できるとし、今後は実用を目指し、プランをブラッシュアップしていきます。

TOMOSHIBI〜灯火〜に向け更なるブラッシュアップを


9名の発表を終え、それぞれに和田さんからフィードバックと温かいアドバイスが送られました。さらに、講義の最後にはビジネスプランをより具体化させるため、収支計画と資金調達に関連するレクチャーを受けました。

本日の講義でビジネスプランを構築するためのノウハウなど、多くのことを学び、自身の興味関心ごとをビジネスアイデアに置き換えることで起業に繋ぐ第一歩を踏み出したLANDサークル生たち。まだ完璧とは言えないけれど、確実にビジネスの方向性が見え、今日の1日がとても濃く充実した時間となりました。

今後は12月に開催される十勝発学生ビジネスイベント『灯火〜TOMOSHIBI〜』に向け、さらに具体的にビジネスプランをブラッシュアップしていきます。
学生たちの斬新なアイデアが光るビジネスイベントになること間違いなし!
ご興味がある起業家さまや企業さまはぜひ『灯火〜TOMOSHIBI〜』にご来場ください!