十勝Z団(トカチゼットダン)

公益財団法人とかち財団

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知識とスキルで切り拓け!LANDサークル×北海道情報大学連携プログラム!

9月上旬、『LANDサークル × 北海道情報大学連携イベント』が開催されました!参加者のスキルをフル活用して挑んだ4日間をレポートしていきます!

LANDサークルとは
LANDサークルは、公益財団法人とかち財団が運営している、十勝地域の大学生、短大生、専門学校生などを対象としたコミュニティです。所属メンバーが自分の趣味や関心を単なる「好き」だけに留めず、LANDスタッフのサポートやサークル活動を通じて起業家精神を育むことを目的としています。自身の活動を社会やビジネスにつなげ、やりたいことを社会的な意義や経済的な価値に変えていくことを目指します。
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北海道情報大学とは
北海道情報大学は、情報技術、デザイン、経営を中心に学べる私立大学で、IT分野の教育が充実しています。産学連携や地域課題の解決にも力を入れており、デジタル技術やデザインを活用した実践的な学びが特徴です。学生はプロジェクトを通じて、地域や企業と連携しながら新しい価値の創出や課題解決に取り組んでいます。
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DAY1

イベントスタート!まずは課題の探索から!


江別市にある北海道情報大学のメンバーがLANDにやってきました!残暑厳しい十勝の夏を締めくくるLANDサークル生と情報大生のコラボイベントが始まります。


まずはLANDサークルを運営するとかち財団の山口さんからイベントの趣旨が説明されます。

今回のテーマは、帯広競馬場を舞台に『ばんえい競馬の魅力向上と活性化促進』のため課題を発見し『ITとデザインを活用したソリューションを提案』すること。4日間の最後には帯広市のばんえい振興課と帯広競馬場の広報担当者に向けて、各チームが考案したソリューションのプレゼンが行われ、この過程を通じビジネススキルを向上させる人材育成を目指します。また、情報大学の参加者には十勝に初めて来るメンバーもおり、地域を越えて専門や環境の違うメンバー同士の交流からビジネス意欲を喚起することが期待されます。


今回は、目標達成のためLANDサークル生と情報大生を混合した4つのチームに分かれ活動します。まずは総勢22人の参加者同士がお互いの理解を深めるため自己紹介が行われました!


『実は私って・・・なんです』がテーマで行われた自己紹介では『実はマヨネーズが大好きで味の見分けができるんです』や『実は引っ越しを4回繰り返したので物件には詳しいんです』など個性豊かなカミングアウトが続き、学生同士の距離もグッと縮まりました。
各チームごとに昼食を挟んだあとは帯広競馬場に移動し、いよいよイベントが本格スタートです!

ばんえい競馬場における地域課題を発見するため競馬場を訪れた参加者たちは、まず競馬場を知ることからスタート。最初にばんえい振興課の田澤さんから、今回のテーマ『ばんえい競馬の魅力向上と活性化促進』に対して平日と休日の客層の違いに触れながら、どのようなものが不足していて何が望まれているのか、お客様と目線を合わせて考えて欲しいと伝えられました。また、実際に来場されている方々から情報収集をしたり意見をいただいたり、積極的なコミュニケーションが課題発見・解決につながるとアドバイスもいただきました。

フィールドワークでは、チームごとに分かれ競馬場内の調査がスタート。
競馬場内の、ばん馬を初めヤギやポニー、ウサギなどの小動物と触れ合えるふれあい動物園では、地元学生から「競走馬と触れ合えることを知らなかった」との声が上がり、大きな競走馬に餌をあげながら「こんな体験ができるならもっと早くに知りたかった!」とさっそく課題のヒントを見つけるチームも。

売店の販売員に聞き込みをしたチームは、誰でも楽しめる場所であって欲しいが施設の老朽化やバリアフリー設備の不足が課題となっている点など職員ならではの目線で課題に近づきます。

実際に馬券を購入し競馬を体験することにしたチームは大きな体で重いそりを引くばん馬の力強いレースを楽しんだ一方、馬券の購入からレースの開始までの案内がわかりにくいことや、競馬自体のルールがわからないこと、馬券を購入できるのが20歳以上と年齢制限があるため家族で楽しむことが難しいことなど、来場者の目線で課題を見つけました。
それぞれのチームが課題発見に近づいた1日目。
明日からの活動に期待が高まります!

DAY2 ・DAY3

各チームビジネスプラン考案に奮闘!


2日目・3日目はLANDを拠点としたチーム活動が本格スタート!
まずは北海道情報大学情報メディア学部情報メディア学科教授の安田光孝先生と講師の近澤潤先生から参加者へ向けたアドバイスが伝えられます。

左:安田先生、右:近澤先生


アイデアは最初から完成系で出てくるわけではないとし、取り組んでいくうちに形になるものだからこそ、まずは意見を出し合い否定をしないこと、実際に見て回ってみることが大切だと話します。ソリューションを提案するにあたってデザイン思考のプロセスである『気づき・理解と問題提起・アイデア出し・プロトタイプ・展開』の重要性を改めて参加者に伝え、フィールドワークやインタビューから得た情報をユーザーの立場になり多方面に考えて奮闘して欲しいとエールが送られます。

また、参加者同士の課題に対する本質的な理解を共有した上でブレインストーミング(複数人で自由にディスカッションを行いアイデアをたくさん出し合うことで新たな解決策を導く手法)を行えるよう、まずはばんえい競馬場についての情報を得ることの大切さを伝え、目標とするゴールをチーム内での共通理解をした上でグループワークを進めて欲しいと、最終日を見据えた活動を促します。


DAY4

ついに最終日!ビジネスプラン発表!


4日間にわたるイベントもいよいよ集大成!参加者たちが紆余曲折しながら考案した帯広競馬場のソリューション案を各チームがプレゼンしていき、発表後には4チームから優秀賞・最優秀賞が選ばれます。審査員をしてくださるのは、帯広市農政部の加藤さん・同部ばんえい振興課の田澤さん・帯広競馬場の広報やプロモーションを担当する徳田さんです。


また、最も可能性を感じるグループには今後もプログラムを継続できる『継続交渉権』が与えられるとのことで、参加者の緊張も高まるなかいよいよプレゼン発表のスタートです!

Aチーム


Aチームは、帯広競馬場により多くの若者を呼び込むことを目的としてプロジェクトを立案します。地元高校生への聞き込みをした結果、競馬場に関心のない人が多いと感じたことから、より多くの若者世代にばんえい競馬の楽しさを知ってもらいたいという想いが生まれました。若者世代に向け、ばんえい競馬の魅力を伝えることにより競馬場が現在抱える “ 将来的な厩務員やジョッキー等の人手不足 ” や “ 客層の固定化による持続的な運営が困難になる懸念 “ の解消を目指します。

若者世代へ魅力を伝える手段として、蹄鉄型のチュロスをはじめ十勝産食材を使用したロコモコ丼など競馬や十勝に関連するメニューを提供する『ばんえいブランドキッチンカー』の運営を企画。おびひろ競馬場で一般のキッチンカーも参加可能なキッチンカーフェスを開催することで、賭けごとを楽しむことができない若者世代へアプローチをします。
また店舗ではなくキッチンカーという販売形式を選択した理由は、競馬場をでて他のキッチンカーフェスに参加したり、他地域への移動販売が可能となったり、ばんえい競馬のPRに繋具ためです。レースを観戦しながら気軽に食事を楽しめるよう観戦エリアにサイドテーブルを用意し、長時間滞在しやすくすることで競馬場全体の盛り上がりを期待します。
さらに、キッチンカーの車体デザインを決める公募の実施などより多くの若者からの興味関心を得る話題性のあるイベントを計画しばんえい競馬のPRを目指します。

さらに最大のアピールポイントとして、レース結果によってフードの割引が発生するシステムを考案。これは対象レースの前にブースで出走馬の番号が書かれたくじを引き、引いた番号の馬が3位以内になるとフードの割引特典が受けられるというもので、年齢制限により賭けごとができない若者世代にも馬を応援する体験をしてもらいたいという想いで考案しました。これらのかけがえのない経験を通じ賭けごとに対するイメージの改善や将来的なばんえい競馬ファンの獲得を目指します。さらにアンケートをとった高校生の一部からは「実際に大きな馬に乗ってみたい」や「コースの整備を体験したい」など、積極的な意見もあったことから『ばんば乗馬体験』『1日厩務員体験』など参加型のイベントを行うことも提案し、多方面から来場者の増加を目指し、同時に将来的な人材の確保へ貢献ができるソリューションを提案します。

Bチーム


Bチームはファミリー層から見た帯広競馬場の課題に着目。競馬場にきた際により家族みんなが楽しめる空間づくりとサービスの提供を目標として、『帯広ばんえい競馬場のレジャーランド化計画』を提案します。アプローチをする対象は “ 年齢制限により競馬で賭けごとができない子供 “ とし、ゲーム性を取り入れた企画の運営とグッズの販売を提案します。

ゲーム企画の一つ目であるプロジェクションマッピングレース企画は、レースのLIVE配信を壁面に投影し、それと同時に児童が事前にスマホアプリを介してカスタマイズしたばん馬のイラストをプロジェクションマッピングで同時投影します。そして、その際に参加児童も並走して実際のばんばと自身のイラストのばんばと一緒にレースをする という参加型のゲーム企画。レース後には自分が描いた馬の投影と写真撮影があり、記念品として購入を促す動線を考案しました。二つ目は、既存の『みんなでダービー』というメダルゲームのキャラクターをばんえい競馬バージョンにして運用したメダルゲーム企画です。メダルゲームの中で競馬を擬似体験してもらうことで、ばんえい競馬がより身近になることや、競馬への興味関心を増進させ将来の馬券購入に繋げる企画です。また家族でメダルゲームを楽しむことで、大人が実際の馬券を購入して馬を家族で応援してみるなどファミリー層の馬券購入促進も期待されます。
どちらの企画もばんえい競馬ならではのオリジナリティとここでしかできない貴重な体験の提供が、さらなるファミリー層の顧客獲得に繋がるのではと熱い想いを語ります。
グッズ販売ではプロジェクションマッピングレースの記念写真およびフォトデータの販売に加え、関連グッズとして記念フレームや、フォトキーホールダーの販売を提案します。

最後に、このビジネスプランによってばんえい競馬の魅力をファミリー層に効果的に伝えることができ、その結果新たな客層や未来のばんえいファンの獲得に繋がるとして、北海道の歴史的な遺産であるばんえい競馬をより広めていきたいと意気込みます。

Cチーム


現在帯広競馬場はYouTubeやSNS等を利用したばんえい競馬の広報活動や、ターゲットを絞った競馬場でのイベント開催など新規の顧客は充分に確保できていると考察したCチームは、獲得した顧客の満足度を調査することからスタートしました。

来場者への直接的な調査の結果、新規の顧客が競馬を楽しまずに帰ってしまうという現状を知り、競馬をより多くの方に楽しんでもらうためのビジネスプランを考案します。
なかでも外国人の顧客が競馬を楽しめていない傾向があることから、帯広畜産大学の外国人18名を対象に帯広競馬場に関するアンケートを行いました。その結果、外国語での案内の不足で不便を感じている点やそもそも来場の際に購買意欲がないなどの問題点が明らかになりました。一方でこのアンケートでは、金銭目的ではなく賭ける経験を得ることに価値を感じて馬券を購入される方がいるというプラスの結果も得られました。

この双方の結果から、競馬場での楽しみ方が必ずしも馬券購入ではないという点、馬券の購入の際のわかりやすい説明や案内が不足している点、外国人に対応する多言語の案内が不足している点が、収益の取りこぼしや口コミの低評価へ繋がり直接的に収益に影響を及ぼしているのではと問題を提起します。

解決策として、新規のお客様でも馬券が買いやすくなるよう多言語に対応をしたボードやQRコードを利用した案内で馬券購入をわかりやすく説明し購入に繋げることや、馬券とグッズをセットで販売することで馬券購入を促進することを提案します。この仕組みを導入することで、「馬券購入は難しそう」という印象を払拭することができ、賭けることを来場目的としない方にも競馬の体験を提供し、まずは気軽に賭けてみることで競馬の楽しさを知っていただくことができます。レースの日の馬券の購入増加分として来場者に対して10%の方が1枚ずつ購入する見込みで月に72万円ほど収益が増加すると予想し、このソリューション案で “ これまで馬券を購入しなかった層にうまくマーケティングができる! ” として「非購買層を購買層にしませんか?」と力強い言葉で締めくくります。

Dチーム


デザインが得意なメンバーが集まったというDチームは、プロトタイプの作成にも力を入れて臨みます。

Dチームが課題として掲げるのは、ジョッキーや職員の人員確保と賭けごとに対する偏見があり競馬場に入りにくいという点です。聞き込みにより競馬場と併設されるとかちむらに来られても競馬場まで足を運ばないお客様が多いことを知ったと言い、その理由として競馬場に子供や若者向けの施設がなく競馬場の楽しさが伝わっていないことを挙げ、『競馬場の魅力が若者に伝わらない=未来のジョッキーの損失につながっている』として、目指すべき姿はばんえい競馬が身近な存在になり若者世代によって盛り上がっている状態であると訴えます。

そこでDチームがモデルプランとして考案したのが若者世代をターゲットとしたイベント『ミッションラリー いこいこばんば!』です。子供をターゲットに「楽しい!」を提供することで将来の職業の選択肢の幅を広げることが目的であるこのイベントは、人参無料券付きのミッションラリーで、『馬の餌やり体験・レースの予想・ばんばくんに会いに行こう』の3つのミッションをクリアすると認定証がもらえるイベントです。ターゲットはとかちむらに来られた子供がいる家族ファミリー層で、1枚300円でイベントに参加することができ1日20〜30人の参加を見込んでいます。

販売・提供場所は、とかちむら入り口に付近を考えており入場すぐに声を掛けることで案内の少なさを改善することにも繋がり、同時にとかちむらだけが目的で来られたお客様へ競馬場への導入をアプローチします。また、とかちむら入り口から競馬場への約100メートルの道を『リトルジョッキーへの道』として子供がワクワクする空間作りを取り入れることで場内への入りにくさのイメージを軽減を目指します。さらに、ミッションラリーと共に馬券購入の流れなどが詳しく載っている既存の競馬場ガイドブックを一緒に手渡すことで、馬券購入促進も期待できると予想します。

最後に、Dチームのメンバー自身も今回の競馬場来訪で初めてばんえい競馬の魅力を知った人が多く『今の競馬場は勿体無い!』と語尾を強めます。世界で唯一無二のばんえい競馬だからこそ、そのポテンシャルをもっと広めていきたいと想いを語り、このミッションラリーイベントを知った方々が「いこいこばんば!!」と行って気軽に足を運べるような場所にしていきたいと締めくくります。

優秀賞・最優秀賞の発表!


4日間各チーム一丸となって取り組んできたソリューション発表が終わり、優秀賞・最優秀賞の発表を残すのみ!プレゼンを終えた参加者からは安堵の笑顔が溢れます。いよいよ優秀賞と最優秀賞の発表です!

優秀賞


まずは優秀賞の発表です。4チームの中から優秀賞に選ばれたのは.... Aチームです!ばんえいブランドで作るキッチンカーという奇抜な発想で若い世代を取り込もうという発想に感銘を受けたという奥田さん。場内への誘導のみならず、競馬場を飛び出してPRできるという発展性が高く評価され、優秀賞受賞となりました!
代表の菊池さんは、「ブレストに苦労を重ねたがチームみんなの努力がこういった形で評価されて嬉しい」と感謝の言葉を返します。


最優秀賞


いよいよ4チームの中から最も心に響いたチームに贈られる最優秀賞の発表です!令和6年度『LANDサークル × 北海道情報大学連携イベント』の最優秀賞に選ばれたのは....Dチームです!Dチームが提案した『ミッションラリーいこいこばんば!』はより実現性が高く、子供に夢を与え将来的にばんえい競馬に携わる人になって欲しいという想いに共感したと審査員から総評が伝えられます。

チーム内の軸がブレることなく共通認識で課題に取り組んでこられたと話す代表の石川さん。4日間共に考え抜いた仲間に感謝の気持ちを伝え喜びを噛み締めます。


特別賞 継続交渉権


最後に特別賞として、今回のソリューション案を実現すべく今後も継続して活動していただきたいチームに継続交渉権が与えられたのは....CチームとDチームです!
Cチームとは、外国人が来場した際に快適にばんえい競馬をより楽しめるよう、システムや広告方法を深掘りしていきたいと想いが伝えられました。また、Dチームへは企画にあった『リトルジョッキーへの道』をぜひ一緒に考案し、現在の課題となっているとかちむらから競馬場にも来場してもらうことを実現していきたいと伝えられ、今後の活動にも期待が高まります。


4日間という短い時間でそれぞれのスキルを活かして挑んだ集大成は各チームどれも素晴らしく、学生たちも達成感で溢れていました!!環境や学ぶ専門の違う学生同士が同じ時間を過ごし、積極的に意見を出し合い一つの課題を達成する過程は、とても刺激的で個々のスキルアップにも繋がりました。この経験を活かし、学生たちのさらなる飛躍を応援します!