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公益財団法人とかち財団

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十勝で続々と、旺盛なチャレンジ精神の種が芽吹き始めています。
2024年3月15日、公益財団法人とかち財団の主催により、令和4年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」採択者4者の報告会が開催されました。補助金を活用して創出された新たな事業や、さらに飛躍した事業に関する報告会の模様についてレポートします。

補助金をどのように活用して事業を飛躍させたのか?採択者4者が報告


2024年3月15日、公益財団法人とかち財団が運営するスタートアップ支援スペース「LAND」で、令和4年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」報告会が開催されました。

「とかちビジネスチャレンジ補助金」
地域事業者の自律的な成長や、ものづくり産業の活性化を支援し、十勝の持続的な経済成長を促進することを目的に実施しています。十勝地域で起業創業する方や中小企業が取り組む、新事業・新製品・新サービスの開発、新市場の開拓や、競争力、生産力向上に資する「ものづくり」、事業拡大などの幅広い取り組みを支援しています。


報告会には、令和4年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」採択者4者が一同に介すとともに、今後、起業を志す方や既存事業をさらに飛躍させたいと考える経営者、また本報告会の前に開催された令和6年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」説明会の参加者らが参加。4者からの報告に熱心に耳を傾けていました。


新たな風を掴み、十勝の産業を活性化させる事業が加速化


報告会では、冒頭、とかち財団の金山紀久理事長から、「十勝地域では大型小売店の閉店など経済情勢の変化が大きい中、新たな風を掴んで新事業を生み出していくことが地域経済の活性化のために求められています。とかちビジネスチャレンジ補助金は、そのような新規事業プランについてスピード感を持って進めていただくためのものです。本日は、令和4年度採択者の皆さんの補助金事業完了から1年の歩みについてお聞きできることを楽しみにしています」との挨拶からスタートしました。

とかち財団 理事長 金山 紀久さん


令和4年度とかちビジネスチャレンジ補助金事業 採択者
株式会社Fant / 高野 沙月(音更町)


事業計画名
食肉処理施設内のプレハブ型冷蔵庫と架台の導入

事業内容
食肉処理施設(主にエゾシカを解体・精肉するための施設)にエゾシカ専用の架台とプレハブ型冷蔵庫を設置した。これにより、より多くのジビエを効率的に流通させることが可能になった。これまで駆除の対象としてその多くが廃棄されていた十勝のエゾシカを魅力的な食材として全国に流通させていく。

食肉処理施設の生産性を向上させ、今後の成長が見込まれるジビエ市場を取り込む


「鳥獣の駆除を依頼したい農家や、ジビエの調達を依頼したいレストランとハンターをマッチングさせるオンラインプラットフォーム『Fant』を2020年から運営しています。当社の強みの一つは食肉処理施設を自社で運営していることで、今回の補助金事業ではエゾシカ専用の架台と鹿肉などを保存するプレハブ型冷蔵庫を導入しました。これにより、これまでは1日2頭のエゾシカの処理が限界だったところ、1日最大8頭までを処理できるようになり、生産性の向上に繋がりました。今後、より成長が見込まれるジビエ市場を取り込むべく、今後は雇用も増やしていきます」

株式会社Fant 高野 沙月さん


令和4年度とかちビジネスチャレンジ補助金事業 採択者
株式会社更別プリディクション / 岡田 昌宏(更別村)


事業計画名
「AgZeni STANDARD」土壌分析統合サービスの開発

事業内容
畑ごとに最適な生育支援を行うシステム「AgZeni」は、BASIC版を令和4年3月にローンチ。本補助金事業では、当該BASIC版を改良し、高騰している肥料によるコストを少しでも削減できるように土壌マップの開発を行った。

メッシュごとに分割した農場における収量や生産性を可視化する「土壌マップ」を開発


「データ駆動型農業の実現を目指し、農場をメッシュに分割してメッシュごとに収穫物の収量や生産性を可視化・マッピングするサービス『AgZeni』を運営しています。本補助金事業では、土壌マップ上の情報として反映させる土壌中の栄養分(窒素、リン酸、カリウム)を測定するため、土壌にニードルを差し込んでpHを測定する方法や、放射線センサーを活用して放射線量から栄養分を推定する方法などの検証を行いました。現在も大学と連携して自身の農場でのデータ解析を進めている他、とかち財団とも連携してジャガイモ栽培に最適な株間や肥料量をメッシュごとに推定する方法の検証を進めています」

株式会社更別プリディクション 岡田 昌宏さん


令和4年度とかちビジネスチャレンジ補助金事業 採択者
十勝空旅舎 / 篠田 博行(帯広市)


事業計画名
熱気球のゴンドラ大型化による搭乗人数・対象顧客拡大化計画

事業内容
熱気球フライトは一度に搭乗できる人数がネックとなっていたが、本補助金を活用することで、ゴンドラを大型化し対応人数をアップした。また、バルーン部分への広告掲載やイベント・学校・福祉施設での係留体験など、本事業の活用により十勝の滞在型観光客の増加や十勝=熱気球のブランド化、熱気球の裾野を広げる活動を行った。

気球ゴンドラの大型化により、効率性・売り上げが大幅にアップ


「現在は、熱気球のフリーフライトや係留イベントなどの事業を行っています。本補助金を活用し、ゴンドラをこれまでの4人乗りのものから扉付きの6人乗りのものに更新しました。これにより車椅子の方でも熱気球に乗ることができるようになった他、乗り降りの時間も短縮して効率性が向上し、売り上げも約4倍にアップしました。補助率が10/10であることが非常にありがたかったですし、補助金事業に採択されたことにより金融機関からの信用も得やすくなりました。現在は、熱気球を飛ばすためのバーナーの燃料として、バイオメタンを活用することでゼロカーボンに貢献する取り組みの検討を進めています」

十勝空旅舎 篠田 博行さん


令和4年度とかちビジネスチャレンジ補助金事業 採択者
合同会社ピロロ企画 / 保志 弘一(広尾町)


事業計画名
十勝の海・漁業のオープンプラットフォーム化に向けた基盤環境整備

事業内容
本補助金事業では、広尾町を特徴づける「海・漁業」に焦点を当て、体験観光の事業拡大を図るべく、安定的なプログラムの実施に向けた拠点施設の整備を行った。これにより、昆布干しから選葉、カッティングといった一連のプロセスが常時体験可能となると共に漁労環境が改善した。

昆布漁の体験プログラムを行う拠点の整備により、昆布漁の働き手確保や収益性向上にも貢献


「主に漁業・酪農・林業など一次産業の体験観光事業や広尾町産品の販売などの事業を行っています。全国的に漁業が衰退トレンドにある中で、本補助金事業では『十勝の海・漁業のオープンプラットフォーム化』をテーマとし、昆布漁の体験プログラムや昆布漁作業を行うための拠点を整備しました。そして、この拠点を活用して体験観光ツアーの造成や大学生インターンの受け入れなどを積極的に進めた結果、昆布漁の働き手確保や収益性の向上にも繋がりました。今後も大手企業との商品の共同開発などが予定されており、引き続き地域の課題解決に向けた活動を進めていきます」

合同会社ピロロ企画 保志 弘一さん


講評
株式会社アルプス技研 最高顧問 松井利夫さん


最後に、十勝の起業創業・事業創発の取り組みに対して長きにわたって支援を続けている、株式会社アルプス技研の創業者 最高顧問の松井 利夫さんからの講評がありました。

「私が十勝地域にこれまで深く関わってきた大きな理由は、開拓の時代から息づくこの地域のベンチャー精神やチャレンジ精神と言うべきものを感じるからです。私自身は技術畑の出身で、会社創業当初は経営面を苦手としていました。そこで、日中は営業と会社経営の勉強に時間を費やし、夜は図面を書くといったように、一人で四役も五役もこなしていました。その時に学んだことが後の事業に役立っているわけですが、常に学び続けている人こそが事業を長きにわたって運営していけるものだと考えています。皆さんにはその点をぜひ意識してほしいと思います。」

株式会社アルプス技研 創業者 最高顧問 松井 利夫さん


ご参加いただいた皆さんからは、「採択者からの報告を聞き新規事業へのモチベーションが上がった。補助金への応募内容についてブラッシュアップしていきたい」「松井さんからのお話に身の引き締まる思いがした」といった声が聞かれ、十勝の活性化に向けた新規事業への機運を盛り上げる報告会となったのではないでしょうか。

令和6年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」の応募締め切りは4月8日(月)です。新たなチャレンジへの扉は開かれています。ぜひご応募について検討されてみてはいかがでしょうか。

令和6年度「とかちビジネスチャレンジ補助金」の詳細については、こちらからどうぞ!


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