2021年に開催された第1回に続き、2022年7月にLANDで実施された十勝の高校生を対象とした課題発見・解決プログラム「Tokachi EGGs~本気(ガチ)の社会科見学~青春しない?~」のレポートをお届けします!
十勝の学生によるボランティア団体CAN-PASS(キャンパス)主催、とかち財団共催、帯広市の協力により開催された「Tokachi EGGs」。2022年は十勝管内の高校生12名が参加しました!
【CAN-PASS(キャンパス)とは】
2020年3月に「マスク橋渡しプロジェクト」をきっかけに発足した十勝の学生によるボランティア団体。初代代表の明日見和佳さんから昨年Tokachi EGGsに参加した松本優さん(柏葉高校2年生)に代表を引き継ぎ、現在も活動を続けている。
とかち財団は、このプログラムを通して高校生達が「十勝地域の課題を発見し、その解決策を考える」という体験が、起業家がビジネスを作っていく際の考え方にも繋がるものであると考え、このプログラムに協力しており、高校生が仲間と語り合い青春しプログラムを体験した後に「実はこれって起業の第一歩でもあったんだ!」と、気付きを得てもらうことを期待しています。
4日間にわたる本プログラムは参加者(高校生)が4チームに分かれて活動します。チームは、参加者3人程度、撮影・記録係として「CAN-PASS」のメンバー1人、メンターが1人の計4〜5名で構成されていて、各チームのメンターには帯広畜産大学3年の大山穂果さん、19歳にして起業家の東谷優里さん、帯広市経済企画課の浜田潤一さん、とかち財団LANDコーディネーターの山口壮太さんが務めます。
メンターの皆さん。左から、大山さん(畜大3年生)、東谷さん(起業家)、浜田さん(帯広市)、山口さん(とかち財団)
始めに主催者である十勝高校生団体CAN-PASS代表の松本さんから本プログラムのビジョンやプログラムの趣旨説明を行いました。
十勝高校生団体CAN-PASS代表 松本さん
松本さんからは、本プログラムのビジョンである「社会に興味を持ち行動する仲間を増やして十勝の活性化に貢献する」ことの説明や、地域貢献に興味があるがどのように行動したらいいかわからない学生でも本プログラムを通じて「一歩踏み出すためのきっかけを作ってほしい」などの説明がありました。
その後、運営側が事前に聞き取りをしていた参加者の興味関心が近い学生同士でチームが振り分けられ、チーム毎に参加者やメンターの自己紹介を行いました。
自己紹介を終えた後は、いよいよ本格的に1日目のプログラムがスタート!
まずは参加者同士がお互いを知るための取り組みとして、チーム毎に内省ワーク(マンダラチャート)を実施。その後はチーム毎で、実際に外に出て地域を回りながら、身近な不満や不便を洗い出し、具体的な地域の課題についてディスカッションを行いました。
2日目の午前は帯広ローターアクトクラブ会長の東郷 哲史さんの講話からスタートしました。
【帯広ローターアクトクラブとは】
ローターアクトクラブとは、ロータリークラブのサポートによって結成された18~30歳までの若者で構成される奉仕団体。 北海道をはじめ、日本全国、世界各地で「奉仕を通じての親睦」を合言葉として活動している。
(引用:帯広ローターアクトクラブ)
東郷さんからは「失敗を失敗ととらえず、プラスにとらえることの大切さ」についてのお話があり、今回のプログラムにおいても、失敗を恐れずチャレンジしてほしいとお話いただきました。
帯広ローターアクトクラブ / 東郷さん
午後からは1日目同様、チーム毎にディスカッションやフィールドワークを実施し、各チームで決めたテーマに基づく課題を探し、その課題は本当に課題なのか、課題である場合困っている人は誰なのかという点を中心に議論を行いました。
更にはその課題をどのようにして解決することができるのかなどについてディスカッションを行い、各チーム解決策のアイディアを考えました。
チームの中には早速十勝の企業の方に話を聞いているチームや帯広管内の施設などを回っているチームもあり、どのチームもアクティブに活動していました!
3日目の午前は帯広で美容師として働きつつ、東京やニューヨークでも活動している、美容室「Blanc.」 の佐藤有香さんの講話からスタート。自分が今どんなに辛い状況でも決して諦めない気持ちや人生チャレンジすることの大切さなどを学びました。
美容室「Blanc.」 / 佐藤さん
午後からは、どのチームも2日目で発見した地域の課題に対する解決策が実現可能かなどを調べるため、関連企業や大学等に訪問してヒアリングを実施したり、街頭インタビューなどでニーズ調査を行っていました。3日目も同様どのチームもアクティブに外に出て活動し、最終日に向けて地域の課題に対する解決策のブラッシュアップを行っていました。
また、この日はNHKの取材が入り、プログラムに取り組んでいる学生の様子や街頭インタビューの様子などが取材されていました。
4日目の最終日は、この3日間で学んだことや得た情報を基に、チーム毎に発表資料の作成に取り組んでいました。どのチームもメンバーごとに役割分担をし、時には足りない情報をSNSやインターネットを活用して情報収集を行うなど、限られた時間の中で発表資料の作成に専念していました。
各チームの発表会では、この4日間でどのようなディスカッションを行ったのか、どこにフィールドワークを行ったのか、どのような課題を見つけ、その課題をどのようにして解決していきたいのかなどについて発表を行いました。
「高校生は学校以外の勉強場所に困っている」ことに課題を感じ、フィールドワークを行っている中でつながった 「日本旅行」のコワーキングスペースに着目しました。課題の解決策として「高校生にとって過ごしやすい勉強スペースとはどんな場所なのか」についてアンケートを実施し、日本旅行さんの協力のもと高校生が勉強しやすいコワーキングスペースを実現したいと発表しました。
「中心市街地には高校生が気軽に入れる飲食店が少ない」、「街中に食べ歩きができる場所がない」などの課題を感じ、解決策としてチームメンバー全員の共通の趣味であった「韓国」に着目しました。韓国には食べ歩きができる「屋台」が非常に盛り上がっていることから、韓国屋台を帯広風にアレンジして、食べ歩きができる屋台を帯広の中心市街地(広小路など)で実現したいと発表しました。
「LGBTQを含めたマイノリティの人が過ごしやすい環境が整っていない」ことに課題を感じ、「帯広畜産大学」のLGBT関連で活動しているサークル「かしわの虹ハウス」の代表の方とLGBTQについて議論を行い、身近な学校環境に着目。解決策として自分達の学校内でのLGBTQ含めたマイノリティの人達へ対応を学校や先生に提案したいと発表しました。
地域に「デートスポットやイルミネーションスポットが少ない」ことに課題を感じ、その課題を解決する方法として、毎年帯広駅の北側ロータリーに飾られるイルミネーションに着目。市内の既存事業である「おびひろイルミネーションプロジェクト」の構造物の提案を実施主体の十勝電気工事業協同組合青年部に対して提案をしていきたいと発表しました。
各チームの発表が終わると、4日間一緒に活動し見守ってきたメンターから、発表についての感想と、チームのメンバーに向けてメッセージが伝えられました。
最後に、運営スタッフが4日間撮りためた映像と写真で作った「エンディングムービー」を鑑賞して、参加者全員でこのプログラムを振り返りました。
本プログラムを通して、高校生達がたくさんのディスカッションを行い、たくさんの大人を巻き込み、地域の課題に対して、解決策を本気で考え、更には仲間と全力で楽しむ姿を見ることができました。
今回のプログラムを体験し「社会課題」の片鱗に触れた彼らが、これからどんな行動を起こしていくのか、とても楽しみです!