2020年10月7日(水)。これまで十勝、東京で開催されてきた「十勝ドリームマップ会議」でしたが、2020年は「スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド」を会場として開催! 秋の寒さに包まれる中で行われた"熱い交流"をレポートします。
「十勝ドリームマップ会議」とは
地域内外の起業家・経営者同士の交流から新事業創発を促す目的で、2017年よりスタートしたネットワーキングイベント。参加者が、互いに刺激し合いながら十勝の未来に思いを馳せ、夢を語り合う。毎年異なるプログラムで実施されている。主催は、帯広市、とかち財団、フードバレーとかち推進協議会で構成される「ドリームマップ会議実行委員会」。
今回のテーマは「アート×起業家~異才の触発~」。 とかち・イノベーション・プログラムの過去の参加者など、十勝で活躍する起業家に加え、「十勝で活躍するアーティスト」が続々と屋外の会場に集まります。
入口近くには、参加者の作品や活動内容を紹介する展示スペースも!
15:00、「十勝ドリームマップ会議2020」がスタートしました。
綺麗な芝生が広がるアウトドアのタープの下で、米沢則寿帯広市長から「コロナ禍の“見えない怖さ”に対抗する、新しい価値、ソリューションを作っていくために、“見えないものを見る/見つける”きっかけとして、本日の起業家×アーティストの交流では焚火を囲んで感性を開放して欲しい」と、開会の挨拶が行われました。
続く協賛者挨拶の冒頭で「アート・芸術は苦手な分野」と包み隠さず話したのは松井利夫さん。ご自身の周りにいる「アート・芸術に関わりの深い」人物が大きな功績を収めた体験談を語り、壁を作っている自身が「終了後には、きっと反省するのだろう」と本日のワークショップに期待を寄せます。
協賛者の敷島製パン株式会社 代表取締役社長の盛田淳夫さんは、「自社の製品が北海道産小麦も使っており、帯広市とも縁が深い」と挨拶。十勝ドリームマップ会議については「毎回志向を凝らしたイベントで楽しみにしている」そうで、「今日は屋外、また新しい刺激と出会いが貰えるのでは」と参加者に語りかけました。
同じく十勝ドリームマップ会議を「毎回楽しみにしているひとり」と自己紹介したのは協賛者、フジッコ株式会社 代表取締役社長の福井正一さん。「キャンプ場という会場で“いつもと違う分野の方”と交流することにとても期待している」と語り、「今日もいろいろ学ばせてもらい、精進したいです」と締めくくりました。
その後、協賛者のサッポロビール株式会社 北海道本社 北海道戦略営業部 副部長の石田英雄さん、富士通株式会社 帯広支店長の今地洋史さん、アース環境サービス株式会社が紹介されました。
十勝ドリームマップ会議実行委員会 副実行委員長の三谷彩恵子さん(帯広市経済部経済室長)から企画の趣旨説明が行われます。「アート×起業家~異才の触発~」と本日のテーマを述べ、「創造性や哲学、美学、それぞれの立場や日々の生活で感じる難しさなどを語り合い、起業家とアーティストの化学反応、非日常的な体験をお楽しみください」と参加者に語りかけます。
引き続き会場中央のタープで、アーティストと起業家の参加者による自己紹介プレゼンが行われました。スクリーンや資料を用いて、自身の作品や活動内容を3分間でプレゼンします。一時は小雨も降り出して気温も下がりましたが、19組20名の熱のこもった自己紹介に、参加者が耳を傾けます。
ここからは、会場にグルリと配置されたA~F、6つの焚火エリアに分かれてトークを繰り広げる「焚火トーク」の時間です。十勝ドリームマップ会議に企画協力している株式会社野村総合研究所の木村靖夫さんから「火を見ながら会話することで素直なことを言えたり、心に落として受け取ることができるのでは」と企画の趣旨が説明されます。トークのテーマは2つ。「(1)経験してもらいたい十勝の良さ、凄さ」と「(2)周囲に伝えるための工夫や苦労について」。後ほど、班に分かれて議論した感想を「ひと言キーワード」として発表してシェアします。
A班の焚火では、協賛者の松井利夫さんを中心に「伝える難しさ」について意見が飛び交います。観光地を例に、“プロモーションの難しさ”の議論に熱が入っていたのがとても印象的でした。
B班の焚火では、「馬文化」や、「冬の十勝晴れ」、「水田ではない畑の景色」、「農家さんが誇りを持っていること」など“十勝の良さ”が続々と挙げられます。移住者視点の意見が多く、文化や風景、スポーツに関することまで話題が尽きない様子。
C班の焚火では、協賛者の福井正一さん自らが進行をリードし、自身の体験談や十勝の感想を語り、焚火を囲む参加者に意見や感想を求めます。参加者からも「フジッコが壁にぶつかるのはどんなこと?」など、次々と質問が飛び出していました。
「焚火トーク」が終わると、再び中央のタープへ。参加者が輪になり、ひとりずつ「焚火トーク」で得た感想を「ひと言キーワード」として発表します。前向きな感想のキーワードが多く発表され、それぞれが今後の活動に活かされていくのではとの期待が高まります。焚火トークが行われる前より、参加者たちの雰囲気が温かくて柔らかいのがとても印象的です。
株式会社野村総合研究所の齊藤義明さんは、総括の冒頭で本日のイベントについて「コロナ禍の影響により開催することが本当に大変で、一時は中止になりそうだった」とのこと。参加者に向けては、「大企業や、中小企業、ベンチャー企業にも深く掘り下げる人の存在“Deeper(ディーパー)”がいる、今日集まった20名も“Deeper”に近い、新しい時代に付加価値を付ける人たちです」と期待を寄せます。
イベント終了後、各々焚火にあたりながら交流会が開かれました。
【写真・左】加藤かおりさん(現代アート作家)「ほかの作家さんなど、こういうイベントがないと知り合えないので参加して良かったです、私だけでなく皆さん刺激になったのではないでしょうか」
【写真・右】岩崎量示さん(写真家)「最初はどういう企画に、自分がどの枠で参加できるのか心配でしたが、終わってみれば楽しかった。本日体験したことは大切に寝かせて役立たせたいです」
【写真・左】米沢則寿帯広市長「途中降りだした雨でどうなるか心配でした、焚火トークでは火の前で素直になれて良かったです」
【写真・右】横山裕二さん(漫画家)「十勝で会いたかった方に会うことができました、(自己紹介プレゼンで聞いた)漢方を自分も育てたいです」
小野寺智美さん(オトデザイン/ヒューデヒムレン)「アートを身近に感じていたけど、今日は想像できない一面を見ることができて、自分がビジネスをやりたい気持ちを再確認することができました」
厳しい寒さに負けず、焚火のような熱い交流が生まれた「十勝ドリームマップ会議2020」。「アート×起業家」という新しい化学反応が、これからどんな十勝のイノベーションを引き起こすのでしょうか・・・?