11月11日~13日に実施された、EARLY STAGE TALK with COFFEE & BEER(アーリーステージ事業者支援 平成30年度採択事業者報告会)のレポートをお届けします!
「アーリーステージ事業者支援」とは
持続可能な地域経済の構築を目的とし、十勝管内の“拡大・成長”を強く志向するアーリーステージ(起業後1~5年の成長初期段階)にある事業者を支援する事業。とかち財団が実施する「十勝ビジネス支援プロジェクト」の一環。
詳細はこちら <アーリーステージ事業者支援助成金 特設ページ>
本会は、3日間の連続開催!平成30年度の採択事業者である3事業者が、事業活動報告と今後の構想について日替わりでプレゼンテーションを行いました。
会場となったのは、とかち財団が運営する「LAND」。ドリンクや軽食が提供され、終始リラックスした雰囲気に包まれていました。
画像左:十勝シティデザイン(株)「旅のはじまりのビール」/画像中央:十勝産じゃがいものポテトチップス/ 画像右:ビール醸造家 十河さんとクラフトビール
司会進行は、とかち財団の高橋さん(画像左)
長澤理事長(画像右)による主催者挨拶の後、各事業者によるプレゼンテーションが行われました。
柏尾哲哉さん(創業者)、坂口琴美さん(代表取締役)
十勝に存在する地域資源の発掘・販売によって、全国・全世界の大都市から資金・情報・人材を十勝に誘導・還流させるべく、数々の新規事業を立ち上げてきた十勝シティデザイン(株)。十勝を舞台とした短編映画「マイ・リトル・ガイドブック」の制作(2013年)、リノベーションホテル「ホテルヌプカ」の運営(2016年)、十勝発のクラフトビール「旅のはじまりのビール」の開発・販売(2016年)、帯広の中心市街地を巡る馬車ツアー「馬車BAR」の運営(2019年)など、同社がこれまでに手掛けた事業は大きな反響を呼んできました。
本助成金では、大都市・東京に活動拠点を設け、3つのイベントを展開。「十勝旅のはじまりフェア(ららぽーと柏の葉)」の企画・運営、二子玉川ライズで開催された「十勝大百貨店」への出店、羽田空港での「なつぞら観光展示」を実施したそうです。
都市圏の最終消費者が抱える“本質的なニーズ”を満たす商品・サービスの提供を目指す同社は、各イベントで十勝の魅力を伝える3種のVRコンテンツ(可搬型インタラクティブ映像施設「十勝デジタルサーカス」など)を展示。コンテンツを体験した2,900名の反応から、販売促進ツール・観光プロモーションの手段としてVRコンテンツの活用が有効であることを実証したのだとか。
大津さん「VR体験に対面会話を組み合わせることで、高いエンゲージメントを獲得できました」
今後は、インバウンドの動向や地方移住の流れ、オフィス機能の分散化を見据えたアイデア「リモートオフィス型観光振興モデル」の構築を目指し、十勝のモール温泉を活用したリモートオフィス事業の展開に向けて準備を進めるそうです。
鹿野淳さん(副理事長)
国産和牛の優位性を証明して輸出を有利に進めるべく、牛枝肉格付の客観的評価法をグローバルスタンダードとして確立するための事業を推進している(一社)ミート・イメージ ジャパン(以下「MIJ」という)。帯広畜産大学内に本社を構えるMIJは、同大学が有する知財を活用し、牛枝肉横断面撮影装置「MIJカメラ」、解析ソフトウェア、枝肉画像データベースの開発を行っています。
「MIJカメラ」で牛枝肉横断面を撮影すると、クラウド上でAIがロース芯を輪郭抽出。牛枝肉格付から人間の主観を排除し、適正な評価に有効なデータを最小限の労力で収集できるそうです。また、小型軽量型の「MIJカメラ」は持ち運びが容易なため、1時間に200~300頭分の撮影が可能。1頭あたり1,000円の解析料を収益の柱に据える方針なのだとか。
本助成金では、巨大な牛肉マーケットを抱える海外へ渡航。日本国内(北海道、岩手県、福島県)に留まらず、アメリカ合衆国、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカで「MIJカメラ」の導入を実現させたそうです。
今後は、食の安全確保と“と畜・せりの一体化”を目指し、HACCP対応と畜場の整備、リモートせりシステム・遠隔相対取引システムの導入を進める計画なのだとか。リモートせりシステムの導入が可能になれば、牛の生態輸送距離が短くなり、生産者が負担してきた輸送コスト・出張コストを削減できるそうです。
鹿野さん「十勝から競争力のある牛肉の輸出が増えれば、食肉処理場の増加・雇用の創出につながり、十勝地域における畜産業の活性化が期待できます」
進藤寛也さん(代表取締役)
旅行者・小型航空機所有者・プロパイロット資格保有者の3者間マッチングサービスを提供すべく、運用に向けて準備を進めている(株)エアシェア。航空機の利用を希望する旅行者が、利用人数・利用日・航路・レンタル機体・パイロットをウェブサイト上で選択し、マッチングを申し込むシステムを構築したそうです。全国に存在する140以上の滑走路・農道離着陸場、定員10名以下の小型航空機(ヘリ・セスナなど)、プロパイロット資格保有者に着目し、この“日本の常識に囚われない”事業スキームを発想したのだとか。
進藤さん「旅行者は、手軽な交通手段として小型航空機を利用できるようになります。航空機オーナーは、維持コストの負担減が見込める上、遊休資産を活用した不労所得を得られます。そして、パイロットは資格を有効活用しながら継続的に技量向上を図ることができるのです」
パイロットであり、航空機オーナーでもある代表取締役の進藤さん。航空業界に対し、以前から思い入れがあったそうです。
本助成金では、システム開発・ウェブサイト制作を進める他、サービスの公開へ向けて道内外の小型航空機オーナー、プロパイロット資格保有者への営業活動を行ったとのこと。
今後は、低い高度で飛行できるメリットを生かし、北海道・十勝の絶景を楽しめる遊覧飛行の実施を検討する予定だそうです。
こうして、3事業者による発表が終了。
革新的で成長性を感じる内容に、質疑応答やディスカッションが活発に行われていました。
3事業者の今後の活躍から、目が離せません!