十勝での新事業創造を目指す参加者が、5ヶ月に渡るセッションを通して仲間を見つけ出し、事業プラン発表までを支援するプログラム。2015年に第1期が実施され、今年で4期目。第3期までに打ち出された28件の事業構想の内、7つの事業が会社設立※に至っている。
※2018年6月11日時点
※革新者:革新的な事業モデルを展開している、全国各地の実力者。
前回に引き続き、11月15日に実施されたTIP【第4期】最終回となる「事業化支援セッション」のレポートをお届けします!
チーム名:モッタイナイ不動産 / チームメンバー:加藤舞さん、木村真之さん、高橋温子さん、高橋一彰さん、山川知恵さん
加藤さん「アメリカの中古住宅のシェアは83.1%。日本は14.7%です。先進国では当然のように再利用されている中古住宅も、日本では空き家と化しているのです。私たちは、競合不在のブルーオーシャンと言える“モッタイナイ”空き家市場に焦点を当て、本事業を構想しました」。
加藤さん「十勝で増え続ける空き家を、メンバーのスキルやノウハウを活かし、チームの力でリノベーションします。空き家の活用方法に悩むオーナーや、まちなかへの出店を希望している方、低予算で住宅を購入したい方などのニーズに応えられると考えています」。
加藤さん「空き家を点、まちを面で捉えた時、空き家リノベーションは“まちづくりの視点”から行う必要があります。まちづくりは、行政だけの仕事ではありません。本来は住民が考えるべきことなのです。行政と連携しつつ、住民主体のまちづくり活動を進め、コンパクトで住みやすいまちを目指します」。
●サポーター 木村さん(野村総合研究所)のコメント
木村さん「現状に問題意識を持っているプロが集まり、チームが組まれました。少ない資本、少ない労力で空き家問題を解決し、より良いまちに変えていける構想だと思います」。
チーム名:北海道十勝ディープトリッパー / チームメンバー:真浦綾子さん、高橋一彰さん
真浦さん「情報が溢れる現代。“垂れ流しの情報”は不要だと感じている方も多いのではないでしょうか。一方で、情報の送り手として“心から伝えたい十勝の魅力”もあるのです。私たちは、WEBサイトの情報発信力に差が開き始めた今だからこそ、紙媒体の安定した人気に着目し、本事業を構想しました」。
真浦さん「“情報の無い情報誌”を発行し、読者が能動的に情報収集を行うきっかけを提供します。本誌には、紹介記事や電話番号、住所などは一切掲載しません。3枚の画像、キーワード6個、“検索してほしいワード”だけのシンプルな誌面構成となります」。
真浦さん「“情報が無い”という特徴を最大限に活かすため、“禁断・秘密めいている・全貌不明”といった内容にもこだわり、想像を膨らませる余地を残します。読者は自らの意思で検索行動を起こすので、収集した情報が強くインプットされ、次のアクションにつながりやすいと考えています」。
●サポーター 坂口さん(野村総合研究所)のコメント
坂口さん「読者が実際に行動に移す“転換率が高い情報”を発信できると思います。広告・広報のあり方を大きく変えるアイデアではないでしょうか」。
チーム名:十勝DEADspace / チームメンバー:米澤愛さん、小林友美さん、米脇将郁さん
米澤さん「最近、日本のゾンビ映画が大ヒットしましたが、ゾンビ映画の歴史は長く、世界的に根強い人気を集めています。私たちは、十勝に存在する(廃墟などの)“古い・汚い・怖い”マイナス要素をプラスに変えるべく、“ゾンビ”と“デッドスペース”を組み合わせた事業を構想しました」。
米澤さん「十勝中でゾンビをテーマに活動し、3段階のステップを踏んで法人化を目指します。まず、ゾンビメイクやゾンビアクターを派遣する、第1段階。ゾンビイベントを300人規模で実施します。次に、“メイクダウン”アーティストの養成・派遣を行う第2段階。ゾンビイベントの規模を拡大し、3,000人動員を目指します。そして、最終ステップとなる第3段階では、30,000人規模のゾンビイベントを開催。法人を設立します」。
緊急事態宣言!!
ゾンビ化を引き起こす『T8ウイルス』感染が拡大しています!
米沢帯広市長や、司会・進行の三品さん(帯広信用金庫)がゾンビに襲われ、大盛り上がりとなりました。
●サポーター 鞘野さん(推進チーム)のコメント
鞘野さん「メンバー全員が個性的で、“ゾンビが好き”というシンプルな動機に突き動かされる姿が印象的でした。本プログラムが求めてきたクレイジーさとは、このような情熱から生まれるのかもしれません」。
こうして、全10チームのプレゼンテーションが終了。
アドバイザーから、本セッションに対する感想と示唆に富んだコメントがありました。
●ムラタオフィス 代表取締役社長 村田利文さん(写真左)
「着眼点が鋭く、実現しやすい構想が多かったように思います。原価ゼロ円の隠れた資源を掘り起こすなど、足元の課題から取り組むアイデアが素晴らしかったです」。
●浦田コンサルティングオフィス 代表 浦田祥範さん(写真中央)
「事業のスケールを大きくしていくには、認知度を上げる必要があります。ネットワークを広げつつ、常識に囚われない発想を大切にしていただきたいと思います」。
●北洋銀行地域産業支援部 常務執行役員審議役 塚見孝成さん(写真右)
「今期誕生した構想には、ディープなものが多い印象でした。地方創生の本質的な課題を捉えたアイデアに、TIPの真価が存分に発揮されていたように感じました」。
最後に、野村総合研究所の此本社長により“今後の展開への期待”が語られ、本プログラム全8回のセッションがすべて終了しました。
チームの仲間探しから始まった本プログラム。“事業構想を練り上げる”までの葛藤の日々は、今回の発表をもってひと段落となりましたが、各チームは今後、“構想を具現化する”ために始動します!
TIP1~3期までの参加者や、今期チームを組まなかった参加者達の姿も見受けられた会場には、“人と人との出会いからイノベーションを起こそう!”という熱気が満ちていました。