十勝での新事業創造を目指す参加者が、5ヶ月に渡るセッションを通して仲間を見つけ出し、事業プラン発表までを支援するプログラム。2015年に第1期が実施され、今年で4期目。第3期までに打ち出された28件の事業構想の内、7つの事業が会社設立※に至っている。
※2018年6月11日時点
※革新者:革新的な事業モデルを展開している、全国各地の実力者。
前回に引き続き、11月15日に実施されたTIP【第4期】最終回となる「事業化支援セッション」②のレポートをお届けします!
チーム名:十勝着物Union / チームメンバー:伊藤由生子さん、真浦綾子さん
着物を着て登場した伊藤さんの姿に、会場の雰囲気が華やぎます。
伊藤さん「着物を着ると、近場への外出もレジャーになります。また、着物を着た女性の影響力は大きいもので、周囲の人を笑顔にするのです。私たちは、“着物を着た女性がいるシチュエーション”に着目し、本事業のビジョンを描きました」。
伊藤さん「着物といえば、世代を越えて受け継いだものがご家庭のタンスで眠ったままになっているパターンが多いと伺っています。洋服の方が楽に着られる、自分で着付けができない、着物を着る機会が無いなどの理由から、そのような状況が生まれているそうです。 私たちは、“着物の女性”を十勝中に送り出すべく、眠っている着物を活用しつつ着物に親しむ機会を提供します」。
●サポーター 齊藤さん(野村総合研究所)のコメント
齊藤さん「とてもパワフルなチームのサポートをさせていただきました。着物を着た美しい女性が増えれば、男性も嬉しい。まちなか活性化のカギがタンスの中にあると発見したのは、全国初ではないでしょうか」。
チーム名:ジョブズの夢 / チームメンバー:石王洋美さん、高垣育世さん、竹部美保さん、富田岳登さん、堀江浩明さん、安田和美さん、安田涼さん、吉田武馬さん
メンバー全員が、ベジタリアンとして知られるスティーブ・ジョブズ氏のファッションで登場しました。
石王さん「私たちのチームには、ベジタリアンの女性がいます。ご夫婦で上士幌町に移住されてきたのですが、ベジタリアン対応の飲食店が少なくて困っていると伺いました。日本は、特別メニューでの対応が一般的な海外と比べて、“食の制限”に対する理解度が低いと言わざるを得ません」。
石王さん「私たちは、ベジタリアンをはじめとした“食のマイノリティ”が、十勝で充実した生活を送るための環境を整えます。クオリティの高い“十勝ベジメニュー”を開発し、十勝管内19市町村すべてで“ベジメニュー”を提供する飲食店を確保します」。
プレゼンテーション冒頭では、蕎麦のかえしを野菜ダシで割ったものと、お湯で割ったものが用意され、比較試飲しました。野菜ダシの旨味と芳ばしさを、しっかりと感じました。
●サポーター 岡崎さん(セッション推進チーム)のコメント
岡崎さん「試飲の時間が盛り込まれ、味覚・臭覚が刺激されたプレゼンテーションが素晴らしかったと思います。フードバレーとかちの第二章がスタートすると感じました」。
チーム名:美唄焼き鳥 / チームメンバー:中村真也さん、角畠あさみさん、須藤まり子さん、高橋幸博さん、松永正宗さん
高橋さん「自転車は、ゆっくりと風景を味わえる乗り物です。好きな時に停めて、地域の人々との出会いや“食”をたのしむこともできます。自転車だからこそ感じられる十勝の魅力を世界中に発信したいと考え、本事業を構想しました」。
高橋さん「観光情報は、決裁権を持つ人によって広がります。4人の海外VIPから、5,800人が参加するインバウンドツアーが生まれた事例もあるのです。まずは、自転車愛好家同士の横のつながりを活用し、十勝で2泊3日10万円ほどのツアーを造成します」。
高橋さん「私たちのチームには、ヨガインストラクター、キッチンカーのオーナー、“結婚学校”を開催している方など、様々な人脈やスキルを持ったメンバーが集まっています。将来は、ツアーガイドの養成や商品開発など、関連事業を拡大していく予定です」。
●サポーター 山川さん(セッション推進チーム)のコメント
山川さん「多忙なメンバーばかりだったので、ディスカッションの時間を取るのが難しく、心配していました。しかし、発表直前まで真剣に取り組み、相互理解を深めた結果、今日の発表に至りました。十勝の魅力を世界に発信できる構想だと思います」。
チーム名:笑嘉尊塾 / チームメンバー:河村知明さん、品田裕子さん
品田さん「私たちは、学生と企業をマッチングする本事業を通し、企業内に“笑って尊びながら学ぶ場”を創出します。企業は、受け入れた学生の力を借りて課題解決に当たります。学生は、座学中心の教育では得られない“コミュニケーション能力”や“プロジェクト遂行能力”を身に着けることができます」。
品田さん「中小企業に過剰な設備は不要ですし、研究開発に多額の費用を捻出することは難しいという現状があります。学生が“現場起点で専門性を発揮する”このシステムが、地域や世界で活躍する主体的な人材を育て、中小企業がイノベーションを起こす未来につながると考えています」。
品田さん「本事業は“アルバイトマッチング”ではありませんので、単純労働は対象外です。企業と学生の双方が合意した条件での活動が前提となります。両者にメリットのある関係が土台となって、地域の人材育成文化が形成されていくと考えています」。
前田農産食品㈱の前田さん(左から2人目)と、帯広畜産大学の岡さん(左から3人目)は、『笑嘉尊塾』がマッチングした最初の1組なのだそうです。
●サポーター 中谷さん(北洋銀行)のコメント
中谷さん「売上・利益計画をプレゼンテーションに盛り込まないという信念を、最後まで貫かれました。この構想は、産学連携の新しい体系だと思います。無限の可能性を感じています」。
次回も引き続き、参加者による事業プレゼンテーションの模様をお届けします!