十勝での新事業創造を目指す参加者が、5ヶ月に渡るセッションを通して仲間を見つけ出し、事業プラン発表までを支援するプログラム。2015年に第1期が実施され、今年で4期目。第3期までに打ち出された28件の事業構想の内、7つの事業が会社設立※に至っている。
※2018年6月11日時点
※革新者:革新的な事業モデルを展開している、全国各地の実力者。
11月15日に実施されたTIP【第4期】最終回となる「事業化支援セッション」のレポートをお届けします!
プレゼンテーション本番の今回、会場となった北海道ホテルのホールには、173名が集まりました。過去最多の参加者が見守る中、第4期から誕生した10チームが満を持して発表します。各チームの持ち時間は7分間。120日間に及ぶ本プログラムの集大成が、その限られた時間に詰め込まれ、「事業開始宣言」となるのです。
緊張感と高揚感が入り混じる中、いよいよ始まりました!
本プログラムの主催者、帯広信用金庫の高橋理事長により開会の挨拶が行われます。
続いて、米沢帯広市長から“本セッションへの期待”が語られました。
本プログラムをリードした野村総合研究所の水石さんは、本セッションを迎えるまでの日々を振り返ります。
「保育サービスなどの新たな試みも盛り込まれた今期。葛藤を繰り返した濃密な時間から、十勝の未来をつくる“0から1”が生まれました。本日お越しいただいた皆様には、十勝における新規事業の持続的創出を実現すべく、“失敗を恐れずに挑戦する文化・土壌”へのご協力をお願いしたいと思います。それでは、各チームのプレゼンテーションをお楽しみください!」
チーム名:またぎぃず / チームメンバー:高野沙月さん、岡田昭彦さん
高野さん「野生鳥獣による農林業被害は深刻です。被害額は全国で172億円。十勝だけでも46億円といわれています。その一方で、高齢化が進むハンター人口は、右肩下がりの状況です」。
高野さん「私たちは、ハンター育成・応援プラットフォーム『FANTERs’』を立ち上げ、3つのWEBコンテンツを運用・情報発信します。1つ目のコンテンツでは、登録ハンターのパーソナルな情報を発信します。2つ目は、狩猟シーンや狩猟場の動画配信を行い、“狩猟現場のリアル”を伝えるコンテンツです。3つ目は、ジビエ(野生鳥獣肉)レシピやハンターになる方法をまとめた、読み物系のコンテンツとなります」。
高野さん「ハンターを“応援したい”ユーザー(=応援者)は、『FANTERs’』を通して、登録ハンターへの金銭的支援ができます。支援を行うと、ジビエなどの返礼品が届く仕組みです。また、応援者からの支援の一部は、『FANTERs’』の運営や新米ハンターのサポートに活用します」。
●サポーター 進藤さん(セッション推進チーム)のコメント
「高野さんご自身、猟銃を手にして2年ほどのハンターです。それまでは、東京都内でデザイナーをされていました。ECサイトの運営ノウハウを持つ岡田さんが、高野さんの思いに共感してチームが組まれ、今日の発表に至りました。」
チーム名:Team 天然 / チームメンバー:岡田五十鈴さん、池田美奈子さん、嶋中康祐さん、庄田ゆきえさん
小鳥のさえずり(BGM)からスタートした、Team 天然のプレゼンテーション。会場の空気が和らぎます。
岡田さん「白い木肌が美しい白樺。十勝を訪れる観光客は、“白樺のある景観”を目的のひとつにしているそうです。他方で、年間1,000本以上伐採される白樺には、チップ以外の利用価値が無いと考えられているのです」。
岡田さん「白樺は生育が早く、樹液から樹皮まで活用できる有用な資源です。私たちは、アレルギー症状の軽減・美肌効果などが期待できる白樺樹液を使ったワークショップや、白樺樹皮で作る商品の開発・販売、“白樺オーナー制度”を通し、自然に寄り添うライフスタイルを提案します」。
岡田さん「白樺細工が盛んなロシアや北欧でさえ職人が減少している昨今、私たちの事業の柱が軌道に乗った段階で、十勝に『白樺研究所』や『自然体験ハウス』を設立します。この取り組みが、十勝の白樺産業を長期に渡って育成する礎になると考えています」。
●サポーター 中田さん(帯広市)のコメント
「とても真面目な4名が、“世の中に大きなインパクトを与えたい”という思いでチームを組みました。4名全員がこれまで個人で活動されてきたこともあり、現実的な課題もありましたが、それらを乗り越え、今日の発表に至りました」。
チーム名:High!チーズ / チームメンバー:寺尾智也さん、上田麻衣さん、佐々木圭一さん、西村剛さん、原田和弥さん、古内孝明さん
佐々木さん「日本のひきこもりは54万人。十勝では、およそ1,600人がひきこもっていると考えられます。自分の世界に閉じこもることで創造性を発揮する“内向的な人の力”に可能性を感じた私たちは、ひきこもりを“コモリスト”と呼び、本事業を構想しました」。
佐々木さん「私たちは、元コモリストなどが集まった“コモリストのプロ集団”です。そんな私たちだからこそ、“職場に個人の特性を合わせる”あるいは“職場が個人の特性に合わせる”といった従来の発想を転換し、コモリスト達が自分らしく活躍できる“働き”を創出できると考えています。十勝のものづくり事業者と提携し、コモリストの職業訓練から雇用までを、一貫サポートします」。
佐々木さん「本事業では、コモリストに対し、起業支援、イベント事業、障害者雇用の運営、業種・地域を拡大して活動する機会などを提供します。まずは、チーズ職人であるメンバーのノウハウを生かし、チーズの製造・販売を通した教育プログラムの開発から始めます」。
●サポーター 高橋さん(とかち財団)のコメント
高橋さん「メンバー全員、リーダーが務まるようなチームでした。思いが重なった部分が、しっかりと事業アイデアに反映されました。十勝のものづくり事業者のお役にも立てる構想だと思います」。
次回も引き続き、参加者による事業プレゼンテーションの模様をお届けします!