2021年3月6日、帯広LANDにて、「令和2年度とかち財団学生起業家育成奨学金事業 ビジネスプラン報告会」が開催されました。
とかち財団学生起業家育成奨学金事業とは
本事業は十勝の産業振興の発展に寄与することを目的とし将来事業を起こすことを目標とする学生に奨学金を給付するものです。今後本事業を通じてビジネスプランの磨き上げを図り、起業家精神を持った学生を十勝に輩出することを目指します。
はじめに、とかち財団理事長・長澤さんから、本事業の目的と経緯を説明する挨拶がありました。司会進行は、とかち財団・西本さんです。
(左からとかち財団・長澤さん、西本さん)
昨年の6月に当奨学金事業の採択者が決定。奨学生は一年を通して行ってきたビジネスプラン活動を報告します。
修学旅行にてとかち農村ホームステイを行う高校をターゲットとし、十勝の農業を通じたキャリア教育授業をオンラインで提供。農業についての知識だけでなく、高校生が将来の進路について考えるきっかけを与える。
自身も高校生の時に、「とかち農村ホームステイ」を体験したことで、畜産へのイメージが変わり、帯広畜産大学への進学を決めた経験の持ち主です。
とかち農村ホームステイ
「NPO法人側のきずなを育む会」が実施している、高校生が修学旅行でで農作業体験をし、農業について身近に考えられるプログラム。
今年度は新型コロナウィルスの影響で、とかち農村ホームステイが中止になる事態に。そこで十勝の農家の協力のもと自身で動画を作成し、高校生に「オンライン授業」を提供。
今年度は、すべてひとりで行ったため、時間的余裕がなく忙しかった。来年度からも続けていくためにはスタッフを増やしていく必要がある。アンケートなどから、十勝・農業の魅力や進路について考え方が高校生に伝わったことを実感できた。この事業をやってよかった
ZOOMを通してオンラインで発表を聞いている一般社団法人とかち地域活性化支援機構専務理事・岩本さんと、とかち財団理事長・長澤さんより、発表者に質疑とアドバイスがあります。
(とかち地域活性化支援機構・岩本さんはZOOMより参加)
(岩本さん)「報酬の相場観はどうやって決めたのか。この先仕事にしていくなら、もっと人件費を取っても良いと思う」
(長澤理事長)「今の計画では農家と高校側にメリットはあるが、協力する大学にはあまり無い様に思えた。大学側のメリットも考え、視野を広げると計画がもっと良くなると思う」
家で留守番をするペットと、旅行の思い出を共有したいという想いから、十勝の食材を100%使用した「ペットのお土産」という商品を開発。十勝の農畜産物の良さを全国に広め、消費拡大に貢献する。
SNSを活用しペットの食に関するアンケートを実施したところ、「食いつきの良さ」が意識されていることがわかった。実際に様々な種類の食材を動物に与え検証しながら、乾燥野菜を粉末状にした商品を開発。さらに「お土産パック」と「リピーター用パック」という二種類の販売方法で展開しようと考えている。
他の企業さんへの協力要請など、商品開発を進める手法を学ぶことができた。新型コロナの影響もあり計画通りに物事を進めることの難しさを実感した。また、多くの協力者がいないと1つの商品を開発することができないということがわかった。事業を進めるうえで仲間や協力者の大切さを学んだ。
(岩本さん)「よくある健康志向ではなく、ペットが美味しく食べられるという視点が良かった。今後に期待しています。」
農家が自分の商品に自分で価値を付けられる社会を目指し、農家がWeb上で簡単に情報発信できるプラットフォームを作る。
(※採択決定時の「とかち農業のPR事業」からプランを変更)
以前、農家の方にホームーページの作成を依頼された経験から、Webの知識が無い方でも、簡単な操作で感覚的にサイトが作れることを売りにしたビジネスプランを考案。実際に自身のビジネスプランを農家の方に説明し、聞き取り調査をした結果、まだまだ作り込みが必要だなと実感した。これからもっと農家の声を取り入れることでより良いプランにしていく。
多角的にものを見ることの大切さと難しさを実感した。実際の声を聞くことでリアリティや重みが出るということがわかった。
(長澤さん)「誰のためにやるのかということをハッキリさせることが大事。ビジネスには『ストーリー』が付いている方が、より理解されると思う」
もっと気軽に旅行を楽しむための「旅行プラン提案サービス」。旅行をする際、目的地の決定、位置関係や道順、予約など、旅行に行くまでの工程の多さを解決する。
(※採択決定時に掲げていた「食育塾から地域活性化へ」からプラン変更)
自身が友人と旅行をした際に、旅行をするまでの工程が多いという課題を感じた。この課題を解決するため、観光業の現状を調査し、自身をロールモデルとして動向を検証。現在はプロトタイプを作製中。
ビジネスを行うにはロジックを知らなければ上手くいかないということを実感した。「課題解決」を見据えてどれだけ社会を共感させるかが重要。この1年、とても忙しかったが色んな経験ができて楽しかった。
(岩本さん)「コロナ禍の中だから、これから変わっていく旅行ビジネスは面白いと思った。旅行を扱う免許や日本の規制や制度もあるので、そこを研究していくとより面白い形になると思う」
十勝の一次産業と関わる地域商社事業として、十勝地域の特産品の販路拡大支援および新規商品開発を実施。ふるさと納税返礼品をはじめ、生産者から卸した商品の流通販売を行う。
一次生産者にアンケートを実施し、外部販売を委託した際の手数料体系をヒアリング。SNSの運用、写真撮影、PR動画制作委託などの価格帯やニーズについても調査。収支計画予測などを作成。
元々のプランは、ふるさと納税業界において商品の販売の実を行うプランだったが、自治体や生産者へのヒアリングを通し、現在のプランに至った。特に、既に事業を行う民間事業者の方々の話を聞く中で、「自分がやりたいこと」を再考させられ、ビジョンをより明確にすることができた。
(中田さんはZOOMよりプレゼン)
(長澤さん)「ふるさと納税の返礼品にストーリーを付けて、よりたくさんの人が参加してもらえるような、PR動画を作って欲しい。地域全体をターゲットにしていけば良いと思う」
最後にとかち地域活性化支援機構・岩本さんから全体の総評、とかち財団専務理事・槇さんから閉会の挨拶がありました。
(岩本さん)「採択時に聞いたプレゼンよりも、かなりブラッシュアップされていた。計画通りにいかなかったり色々大変なこともあると思うが、とかち財団をはじめ、相談すれば協力してくれる人たちがいる。今回できたこの関係性をこれからも活かしていって欲しい」
(槇さん)「コロナ禍という制限のある中でのブラッシュアップだったが、発表を聞く限り皆さんにとって有意義な10ヵ月だったと思う。今の気持ちを大切にし、このモチベーションを維持して最後までやり遂げて欲しいと思う」
(とかち財団・槇さん)
令和2年6月に採択後、それぞれのビジネスプランの磨き上げを行ってきた奨学生の皆さん。 本支援事業の終了後も、起業へ向け活動を継続する学生もいます。
そして、「令和3年度 とかち学生起業家育成奨学金事業」の募集は3月15日(月)より開始! 起業を目指す学生の皆さんの応募をお待ちしております!