2019年11月25日(月)、東京駅からすぐの「fabbit Global Gateway “Otemachi”」会場でフードバレーとかち首都圏プロモーション「十勝ドリームマップ会議 in 東京」が開催されました。
十勝からのイノベーション創発を目指し、異なる領域の参加者同士が触発し合うネットワークイベントである「十勝ドリームマップ会議」の東京プロモーション。北海道・十勝にゆかりのある東京からの参加者も多く、アットホームな雰囲気に後押しされて参加者同士の交流が広がります。
14:00、「十勝ドリームマップ会議 in 東京」がスタートしました。
初めに米沢帯広市長から「参加者同士の交流を“混血”というキーワードで、異次元の組み合わせや密度の濃いネットワークに参加する絶対数を増やしイノベーションに繋げたい。」と開会の挨拶が行われました。
2019年の十勝に旋風を起こした「開拓」という言葉を用い、「新しい未来を耕す機会に」「開拓精神を持った十勝の事業者による発表にぜひ助言を」と参加者に呼びかけます。
協賛者からの代表挨拶で「よく十勝に行っているので、今日は“十勝から来た松井”と名乗りたい」と自己紹介したのは、株式会社アルプス技研の創業者、最高顧問でもある松井利夫さん。
今年8月、帯広市にオープンしたスタートアップ支援スペース「LAND」での体験を例に、「言い出したことが具体化している、本日も“そういう場”になれば」と参加者を鼓舞しました。
ここからは野村総合研究所の坂口さんの進行により、“相互理解セッション”が行われました。
参加者同士の交流を深め、緊張をなくす目的で「名前と顔を覚えるワーク」と「フラフープチャレンジ」の二つに挑戦します。
30名ほどに分かれた各グループ全員の顔と名前を、20分の交流タイムで覚えなければならない!
十数人の人差し指で支えたフラフープを床まで降ろすチャレンジ!簡単なようで、指を離してはならないというルールのせいで超難関
それぞれ関わる事業は違えど「十勝からイノベーションを起こす」という目的を持った参加者同士の交流は真剣そのもの。会場全体が笑い声に包まれ、「すごい!」「頑張れ!」と歓声が沸きました。
メインプログラムを前に参加者同士の距離が縮まります。
会場をAとB、二つのエリアに分け、同時進行で十勝の事業家による、事業の紹介や成果発表が行われます。持ち時間は5分間。それぞれのエリアで11社ずつ、全部で22社のプレゼンが行われました。
熱気溢れる十勝の事業家によるプレゼンテーションの中から、いくつかをピックアップして紹介します。
「ブラウンスイス牛コンビーフ」など、コスモスファーム(十勝清水)で行っているブラウンスイス牛の肉牛牧場としての取り組みについて発表しました。ホルスタインと同じく乳牛の区分であるブラウンスイス牛。“肉牛としても”マーケットが確立しているホルスタインに比べ、ブラウンスイス牛の肉牛利用はまだまだ少ないのだとか。最初の商品化アイディアでコンビーフを選んだのには「自身のアトピー経験から無添加で安全な食品」、「東日本大震災で被災した経験から長期保存可能な商品」、「命を使い切る」、という三つの理由があったそうです。「5千人のファンを作りたい!」と意気込む安藤さん。本事業を始めたきっかけが、牧場に来る牛の中に「偶然紛れ込んでいたブラウンスイス牛を受け入れたこと」というのが印象的でした。
“食と健康”をコンセプトにした「企業への野菜提供」事業についてプレゼンしました。グループ会社である「北王コンサルタント」が携わる企業に勤める“職員の健康不安”を解消するため、自社で栽培する野菜をパッケージで提供します。提供回数は年1~6回を予定しており、まずはグループ会社から野菜提供事業を開始して、「徐々に賛同企業を増やしたい」とのこと。「“十勝の野菜=美味しい”にプラスして健康を」と語る藤田さん。野菜で健康に対する意識を高めるため「ぜひ十勝に来て農業体験してください」と締めくくりました。
スーパーフードと言われる「キヌア」栽培についての取り組みを発表しました。キヌアは1~2ミリの穀物。栄養素に優れ、健康やダイエットなど、特に女性に人気があります。茹でてサラダに入れたり雑穀米に混ぜて利用されることの多いキヌアの市場は、今後5年間で17%も上昇するのだとか。欧米では現地生産されているそうですが、国内での市場はまだまだ横ばい。しかし「国産があればぜひ使いたい」という市場の声を紹介していました。キヌアの高い栄養価に加え、良心価格で安定供給という国産の強みを活かし、十勝産キヌアで「国内やアジアでの販路拡大を目指す」と語りました。
低糖質の新スイーツを製造・販売している景山さんと安久澤によるプレゼンです。取り扱う商品はグラノーラやクッキーなど。ご自身や家族の健康不安体験をきっかけに、糖質を抑えたスイーツ事業を開始しました。「みんながハッピーになる」生活目線の商品開発。地域での健康教室開催や情報発信にも力を入れてきたそう。事業は今年で3年目。低糖質スイーツの需要を実感するとともに、ターゲットとの接点など課題も見つかっています。「必要としている人に、どう商品を届けるか。アドバイスを貰えると嬉しいです」と参加者に呼びかけました。
“狩猟文化をあたらしく”をコンセプトに、ハンターのためのプラットフォームサービス展開を予定しているのは株式会社Fantの高野さん。「ハンターと社会を繋ぎ、身近なものにしたい」と語りました。最近は20~30歳のハンターも“実は増えている”そうですが、新規参入者の「教えて欲しい」と先輩ハンターの「教えられる」が“なかなか出会わない”問題を抱えています。地域を超えたハンター専用の交流サービスを展開し、問題の解決を目指していると力強く唱えました。今後展開を予定しているプラットフォームサービスではGPSによる情報共有、ジビエのトレーサビリティ確保なども盛り込み、現在募集している事前登録には70人ほどの登録があるそうです。
エリアA・Bともに十勝の事業家によるプレゼンテーションが終了し、ここからは発表内容に対する招待者様からコメントをいただきます。
「事前予想より刺激的で勉強になった」と語ったのは敷島製パン株式会社 代表取締役社長の盛田淳夫さん。
十勝の特徴として「独立精神が旺盛なこと」を挙げ、事業に対する考え方が素晴らしいと賛辞を送ります。普段より「商品には、自信を持ってストーリーを語れることが必要」という考えに基づいて、本日のプレゼンすべてに共通して「ストーリーを感じられた」と感想を述べました。
主にエリアAでプレゼンを聴いたフジッコ株式会社 代表取締役社長の福井正一さんは、本日のプレゼンから「元気を貰った!」とコメントしました。
有限会社コスモスのブラウンスイス牛事業のきっかけとなった出来事に「偶然でなく、必然だったのではないか」と語り、また株式会社とかち製菓の事業には「タピオカの次に来るという白玉でなく、ぜひ当社のナタデココを」とコメントし会場を沸かせます。他にも本日聴いたプレゼンすべてにコメントを残し、十勝の事業家たちに勇気を与える姿がとても印象的でした。
「最初に聞いた“混血”には素晴らしいロケーションだ」と話すのは株式会社福島屋 会長の福島徹さん。
“能動的でいろいろなことが起きる、注目を集める土地”という印象の十勝に対し、「考えて行動する環境は日本でも有数だ」とのこと。また「細かいところをしっかり理解して、どうマーケットに反映させるのか」「One to Oneで事業を拡大するのが大切だ」とコメントしました。
各プレゼンを「テクノロジー目線で見てた」のは株式会社スカイマティクス 代表取締役社長の渡邉善太郎さん。
株式会社Fantのハンターのためのプラットフォームサービスが「面白かった」と本日の印象を述べます。また「課題設定を間違えないのが大切」とコメントし、「どうビジネス展開するのか楽しみ」と期待を込めました。
農業と食というテーマが多かった十勝の事業に対し、「シェフ目線でコメントしたい」と話すのはフォーシーズンズホテル丸の内 東京のヘッドシェフ浅野裕之さん。
本日のプレゼンに「まだまだ知らないものがたくさんあるのだな」という感想を述べ、その熱意を「売りたい先に“そのまま”伝えたら良いと思います」とコメント。そして「公的機関が事業を応援してくれるのはとても素晴らしいこと」と本会を振り返りました。
最後に本日のプレゼンテーションを、レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長の藤野英人さんに総評していただきます。
30年近く投資の仕事に携わっていた藤野さんは「長年イライラしていた」理由に「新しくて力強い会社が出てこなかった」ことを挙げたうえで、本日のプレゼンテーションに「ワクワクした!」という感想を述べました。「十勝の素晴らしいところは“十勝”という言葉」「地域連携して十勝ブランドを盛り上げようと頑張っているところ」と地域の取り組みに太鼓判を押し、「十勝から大きな会社が生まれると良い」と十勝の事業家たちにエールを送ります。
長時間にわたり十勝の熱い事業をしっかりと首都圏にプロモーションした「十勝ドリームマップ会議 in 東京」。本会での出会いから展開する交流が“混血”というキーワードのもとに、どのようなイノベーションを起こすのか期待が膨らみます。