十勝Z団(トカチゼットダン)

公益財団法人とかち財団

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2019年2月9日に実施された「十勝×神奈川ビジネス交流会(十勝開催)」のレポートをお届けします!

「十勝起業家磨き上げ事業 十勝×神奈川ビジネス交流会」とは
とかち財団と旧起業家支援財団(神奈川県)の合併に伴い、2018年より始まったビジネス交流会。旧起業家支援財団が十勝の起業家に向け、事業創発の後押しや経営課題解決のためのアドバイス、人的ネットワーク構築を支援するなどし、十勝ビジネスの加速化を目指す取り組み。本事業において、旧起業家支援財団のメンバーである起業家・経営者は「十勝起業家支援チーム」として参画する。

素晴らしい「十勝晴れ」が望めたこの日。本交流会は、神奈川県での初回開催から十勝に場所を移し、第2回目の開催となりました。帯広市役所の一室に「十勝の起業家支援チーム」と十勝の起業家・経営者合わせて総勢約50名が集まり、定刻通りにスタート!

とかち財団 専務理事兼事務局長の小池さんより、開会の挨拶が行われました。

主催者挨拶

とかち財団 長澤理事長:地方創生活動が全国各地で活発化している中、十勝でも様々な取り組みが行われています。このような取り組みが推進力を得るには、単独での活動ではなく、連携の輪を広げていくことが重要です。「十勝起業家支援チーム」にお越しいただくこのような機会を活かし、全国・世界を目指す事業が育つことを願っています。

来賓挨拶

帯広市 米沢市長:これまで、とかち財団とともに様々なプログラムを実施し、十勝の起業家を支援してまいりました。その結果、熱い志を持った挑戦者達が新しいコミュニティを作り、大きな存在感を放っています。本事業が、地域外から着想のヒントや刺激を受ける知的メルティング・ポット(るつぼ)となり、新事業創出を加速させることを期待しています。


東成エレクトロビーム㈱ 取締役会長 上野さんより、「十勝起業家支援チーム」が紹介されました。

【十勝起業家支援チーム(順不同敬称略)】
㈱アルプス技研 創業者 取締役会長 松井利夫
㈱アルプス技研 代表取締役社長 今村篤
㈱アルプス技研 常務取締役人事部長 渡邉信之
東成エレクトロビーム㈱ 取締役会長 上野保
㈱TNPパートナーズ 代表取締役社長 呉雅俊
㈱ピーバンドットコム 代表取締役 田坂正樹
㈱VM ビタミンママ 代表取締役社長 渡辺順子
㈱トレジャー・ファクトリー 代表取締役社長 野坂英吾
千代田第一工業㈱ 代表取締役社長 鈴木信夫

【講演】十勝起業家支援チーム

講演者:㈱ピーバンドットコム 代表取締役 田坂正樹さん

大学卒業後、㈱ミスミに入社した田坂さんは、同社で高い実績を上げ5年で退社。2002年に㈱ピーバンドットコムを設立し、プリント基板の設計・製造から注文までインターネットで完結する「P板.com」の運営を開始。2017年には東証マザーズ上場を果たし、会社とご自身の成長を妨げていた過去を払拭。個性を活かしたマネジメントを実施し、少数精鋭で高収益な経営を実現させています。

「自分自身がワクワクして夢中になれることをやるようにしています」
「当社には営業ノルマこそありませんが、営業マンは楽しそうにバンバン売ってきますよ」

講演者:㈱トレジャー・ファクトリー 代表取締役社長 野坂英吾さん

敏腕商社マンだったお父様を意識し、中学2年生で社長になる決意を固めた野坂さん。ご自身の目・耳・足を使った情報収集を行う中で、身の回りに存在する“もったいない”資源に着目。リユース事業での起業を志し、大学卒業後の1995年にトレジャー・ファクトリーを設立。品物の価値を伝える販売スタイルで右肩上がりの成長を遂げ、国内外合わせて186店舗を展開しているそうです。

「あったらいいなと思うこと・サービスを50個リストアップし、その中からリユースビジネスを選びました」
「店舗数が少なかった時は、なかなか知ってもらえていませんでしたが、50店舗を越えてから少しずつ知られるようになりました」

【プレゼンテーション】十勝の起業家

上士幌町役場企画財政課 地域おこし協力隊 島田裕子さん

岡山県出身の島田さんは、大学卒業後すぐに結婚。2児の母となり、東京都内で専業主婦を経験。子育てを通して都市部への一極集中に問題意識を持つようになり、「今後の日本のために、何か力になりたい!」と地方移住・起業を決意。2018年、上士幌町に移住し地域おこし協力隊として活動しながら事業を開始。「十勝の魅力発信事業」をテーマに、とかち素材のかき氷を提供するキッチンカー「カチカキ」や、バー「らんぷ」をオープン。十勝の観光産業を応援することが十勝の活性化につながると信じ、活動しているのだそうです。

㈲竹中農場 取締役 百姓 竹中章さん

音更町にある東京ドーム13個分の圃場で、畑作4品目(小麦、甜菜、馬鈴薯、豆類)や西洋野菜(リーキ、根セロリ、エシャロット、アスパラガス)などを生産している竹中さん。フレンチのシェフとの出会いを機に西洋野菜への関心が高まり、海外視察に行ったり、海外の種子を取り寄せたりして、西洋野菜を研究中なのだとか。現在、西洋野菜の国産化を進める「西洋野菜特区構想」や、ヨーロッパの農業技術の導入、リーキを使用した「リーキ串」の開発、農家レストラン経営、外国人向け農業体験ツアーなどを企画しているそうです。

十勝の森林資源を活用した新産業創出研究会 木村祥吾さん

㈱木村建設の代表取締役を務める木村さんは、京都での宮大工経験を活かし、足寄町に新築する自宅を「北海道型伝統工法住宅」のモデルハウスとして建設。オーストリアを視察した際は、経済性よりも森林環境保護やまちの景観を重視するという発想に刺激を受けたのだとか。今後は「川上から川下への連携」をテーマに、地域の林業家(植林・伐採)、製材所(加工)、大工(建設)を巻き込み、建設活動がもたらす環境負荷の軽減や、「消費型住宅」ではなく「社会的資産」となる家づくりを目指すのだそうです。

【講評】十勝起業家支援チーム

東成エレクトロビーム㈱ 取締役会長 上野保さん:とかち財団が次々とチャレンジし、地道な支援を続けていることがよく分かりました。小豆やジャガイモなど、十勝の美味しい農産物は大変魅力的ですが、十勝の魅力は他にもたくさんあるはずです。経済産業局が地域資源の調査を進めているので、その内容をぜひ確認してみてください。

㈱TNPパートナーズ 代表取締役社長 呉雅俊さん:ビジネス仮説を立てることと、お客様目線で語ることが大切だと思います。今回は、ビジネス仮説が伝わってこなかったことが残念でした。事業成功のためには、曖昧な言葉を使わず、目的や顧客を明確にした上で掘り下げて考える必要があります。学びからどんな仮説を立て、何に挑戦するのか、環境の変化を待つのではなく解決策を探し続けてください。

㈱ピーバンドットコム 代表取締役 田坂正樹さん:十勝には、美味しい食べ物や景色など、良いものがたくさんあります。しかし、お客様が増えなければどんなに良い商品やサービスがあっても売れません。あらゆるSNSを駆使し、知ってもらう努力をしましょう。投稿できる内容が無ければ、店舗やメニュー開発のプロセスを発信するだけでも良いのです。

㈱トレジャー・ファクトリー 代表取締役社長 野坂英吾さん:自分が伝えたいことと、相手が聞きたいことは違います。できるだけシンプルに伝え、共感を得ることで協力者を増やしましょう。駄目出しを含め、色々な意見をもらうことは重要です。伝え方に磨きをかけ、活動を続ける内に認知度は上がります。事業の成功を願っています。

総評

㈱アルプス技研 創業者 取締役会長 松井利夫さん:掲げた目標を達成するためにどのような行動を起こすのか、具体的に考えましょう。ベンチャー精神を大切に、理論50%、経験・嗅覚50%での経営を心掛けてください。2つの財団が互いに磨き合う中から、新しい発想が生まれることを期待しています。

こうして本交流会すべてのプログラムが終了し、閉会となりました。地域を超えた交流がどのように実を結ぶのか、今後の展開が楽しみです!