十勝Z団(トカチゼットダン)

公益財団法人とかち財団

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2021年7月28~31日にかけてLANDで実施された、十勝の高校生を対象とした課題発見・解決プログラム「Tokachi EGGs~本気(ガチ)の社会科見学~青春しない?~」のレポート(前編)をお届けします!

「Tokachi EGGs」は、十勝の学生によるボランティア団体CAN-PASS(キャンパス)と、とかち財団による共同開催となります。

【CAN-PASS(キャンパス)とは】
2020年3月に「マスク橋渡しプロジェクト」をきっかけに発足した十勝の学生によるボランティア団体。プロジェクトでは7,000枚以上のマスクの回収に成功し、介護施設などに配布。この活動は多くのメディアでも大きく取り扱われた。

このプログラムは「CAN-PASS」の代表を務める明日見 和佳さん(柏葉高校3年)の持ち込み企画で、企画の概要を思い付いてから開催まで約1月という、とてもスピード感のある運びで実施。参加者募集の広報動画を作成して、SNS(インスタグラム)で配信し、この日は20名を超える高校生が参加しました。

とかち財団は、このプログラムで学ぶ「十勝地域の課題を発見しその解決策を考える」という体験が、起業家がビジネスを作っていく際の考え方にも繋がるものであると考え、このプログラムに協力することになりました。
高校生が仲間と語り合い青春しプログラムを体験した後に「実はこれって起業の第一歩でもあったんだ!」と、気付きを持ってもらえることを目的としています。

まず、明日見さんから
「何かに挑戦しようとしたときに、十勝で仲間を探すことが非常に困難な地域だと気付いた。このプログラムを通して、社会の課題に興味を持って行動する仲間を増やし、活気のある地域づくりに貢献したい」
と、このプログラムに込めた自身の想いを、同年代の参加者に伝えました。

明日見 和佳さん(柏葉高校3年)

プログラム趣旨説明

続いて、4日間にわたるプログラムの趣旨説明では、「課題」とは何か、ワークの流れや発表のやり方などを説明。そして「他者の意見や価値観を尊重し、決して否定はしない」などのルールを参加者に共有しました。

参加者は4チームに分かれて活動します。
チームは、参加者(高校生)3~4人、撮影・記録係として「CAN-PASS」のメンバー1人、そして議論が行き詰まった際に助け舟を渡す役としてメンター1人で構成され、これからの4日間を共に行動します。

メンターの皆さん。左から、浜田さん(とかち財団)、田中さん(帯広市)、長さん(大学2年・札幌)、高堂さん(大学1年・札幌)

明日見さんから「それでは楽しんでいきましょう!!」と声高らかにプログラムの開始が宣言されると、早速、参加者から「めっちゃ楽しそう」、「どこいく?何する?」など、プログラムに期待する声があがりました。

自己紹介!「人生振り返りワーク」

まずは「人生振り返りワーク」と題して、これまでの自分の経歴、特技や性格などを交えて自己紹介。好きな音楽、所属する部活、猫派・犬派、アニメが好きなど、共感できる話題が出ると、「私も!」と盛り上がり、このワークで一気に参加者の距離が近付いたように見えました。

課題出しディスカッション

自己紹介プログラムが終わると、早速「ディスカッション」の時間に。これから4日間かけて取り組む「課題」を何にするかを、チーム内で議論します。

議論の進め方にルールはありません。LAND内でじっくり議論を交わすも良し、LANDから飛び出して外で議論するも良し。チーム内で相談して活動方法を決めていきます。
そして、各チームには4日間の活動費が支給されました。何にいくら使うかも自由です。

「まずは社会見学だ!」と、早速支給された活動費でバスに乗り「おびひろ動物園」に向かうチームも!

帯広市の街中や、グリーンパークなどの主要施設を散策しながら、高校生の目線でこの地域の「課題」を探します。活動する参加者の表情には、笑顔が溢れていました。

夕方になり再びLANDに集結した参加者は、チームごとに今日の成果を発表。全員で共有し1日目のプログラムを終えました。

【講話】ワンズホーム / 松山 岳詩さん

プログラム2日目。
この日、最初のプログラムは、帯広市内で認知症対応型介護施設ケアサポート・ワンズホームを運営する松山 岳詩さんを講師に迎えて、社会課題と解決策の事例について話を聞くことに。

雑誌の編集者として10年間のサラリーマン生活をした松山さんは、通信教育で資格を取得し、介護業界へ進出した経歴の持ち主です。

ワンズホーム/松山 岳詩さん

松山さんがボランティア活動の際に感じた、『認知症の方には、できないから(何も)やらせない』という当時の介護の現場に、とても違和感を覚えたと言います。

松山さんが感じたこの「社会課題」に対して、現在、自らのグループホームで実践している「(高齢者も)自らお金を稼いで使う」という解決策について詳しく話してくれました。
松山さんが目指すのは「認知症の方も普通の生活を送れる社会」です。

話を聞いた参加者からは、介護現場の大変さ、サラリーマンから介護の道へ進むのは怖くなかったか、課題の解決策はどうやって思い付いたか、などたくさんの質問が投げかけられました。

最後に松山さんから、
「自分の人生の目標をもっと若いうちに決めたかった。大きな目標を達成するためには、小さな目標/達成を積み重ねることが大切。そのためにどんな大学に行くのか、どんな仕事をしたいか、考えるきっかけにして欲しい」
と参加者にメッセージを送りました。

課題出しディスカッション(2日目)

午後からは、昨日同様チームでの活動となります。
テーブルを囲み意見交換をするチーム、昨日に引き続き外に出て課題を探すチームなど、様々な方法で自分たちの考えをまとめていきます。

「食」に関心があるメンバーで構成したチームでは「食」にテーマを絞り、LAND周辺でたくさんのスイーツを購入し調査。「地域に遊ぶ場所がない」ことを社会課題としたチームでは、実際に公園で遊んでいる子供達に話を聞くなど、精力的に情報を集めました。
子供達と一緒に水遊びをした結果、着ていた服が濡れてしまい、チーム全員で新しい服を買いに行くという楽しいハプニングを経験したチームも。

夕方になり全チームがLANDに戻ると、初日同様、チームごとに今日の成果を発表。初日から打ち解けていた様に見えましたが、さらに参加者同士の仲が良くなっている印象を受けました。

最後に明日見さんから、「明日も全力で楽しみましょう!」との声で、2日目のプログラムが終了しました。

(後編へつづきます)

後編はこちら 『高校生が企画!「Tokachi EGGs~本気の社会科見学!」レポート(後編)』