公益財団法人とかち財団は、十勝管内において起業した事業者の支援を目的とした助成金事業、「令和3年度アーリーステージ事業者支援」の採択事業者を決定いたしました。
アーリーステージ事業者支援は、アーリーステージ(成長初期段階)の企業等に対し、事業の拡大成長に資する取組み支援することで地域経済への波及効果を増大させることを目的としています。対象者は十勝管内に主たる事業所がある事業開始後1年以上5年以内の事業者となり、助成金限度額は300万円で、事業を拡大成長させる上で必要と認められる経費を対象としています。
本事業はとかち財団が地域産業の担い手を通じた創業・起業・事業創発の促進による地域産業活性化を図るため、平成30年度(2018年度)より新たに開始した人材育成事業「とかち財団ビジネス支援プロジェクト2021」の一つとなります。これまでIT、食品製造、小売、サービス、観光など、様々な業種業態の起業家から、多数の応募がありました。
本年度も外部選考委員による最終審査を実施し、一次審査を通過した事業者が、事業内容や事業に対する自らの想いや考え方を発信する面談選考に挑み、事業の成長性や熱意・意欲、地域への波及効果などの評価が高かった3者を採択いたしました。
(左)公益財団法人とかち財団 理事長 長澤秀行 (右)株式会社VETELL 代表取締役 池田哲平さん
株式会社VETELLでは、牛群管理・電子カルテシステムである「vetell」を開発しサービス提供しています。「vetell」には
①「牛群管理の記録を牧場外部の関係者も記録・共有可能」
②「成長期の子牛の管理精度向上に必要な飼料摂取量や詳細な体調情報が記録可能」
③「日常の健康管理記録が自動的に収支記録につながる」
という大きな特徴があり、「全ての農家さんに幸せな牛飼いの毎日を提供する」ため、持続可能な畜産・酪農の形を追求しています。
既存のサービスではカバーできていない、「牧場の内部利用のみ」、「肉用子牛の管理に利用しづらい」、「健康管理情報が個体収支や経営情報に結びついていない」という農家さんの不満を解消する革新的なサービスです。
「vetell」は、令和3年2月にオープンローンチを終え、現在もユーザーの利便性を大きく向上させるアップグレードを行っています。アーリーステージ事業者支援事業については、利用ユーザーの新規獲得を目指し、現在主に利用いただいている北海道・十勝地域を起点に、全国の畜産・酪農家に利用いただくけるよう「営業体制の強化」と「営業活動費」に活用していきます。
(左)公益財団法人とかち財団 理事長 長澤秀行 (右)合同会社Swing by 代表社員 山中大輔さん
北海道十勝産の食材をベースに、薬膳や体に優しいオリジナルスパイスを使用した様々なエスニック料理をキッチンカーにて全道各地へ運ぶ移動式タコス料理店シーガルキッチンを展開しています。
また、十勝産食材の普及や地域の賑わい創出を目的とした団体『とかちフードトラック協会』を設立し、当協会には同じ志を持った14事業者が加盟しています。「北海道を美味しい笑顔でいっぱいに」をスローガンに様々な取組みを実施しています。
これまでキッチンカーでの起業を考えている方々から多くの相談を受けている背景から、キッチンカーを始めたい人向けの起業セミナーを開催するとともに、キッチンカー料理人の視点による使い勝手の良い設備、十勝のアウトドアシーン等でも活躍できるデザインを施したキッチンカーの製造販売を開始します。また、十勝の農畜産関連の生産者や食品加工業者と連携し、起業後に事業者が使用できる十勝産食材のマッチングも支援していく予定です。アーリーステージ事業者支援事業では、このような新たな取組を確立・普及するため活用していきます。
(左)公益財団法人とかち財団 理事長 長澤秀行 (右)フォレストデジタル株式会社 越坂佑平さん
デジタル技術を用いて、あたかも森や自然の中にいるような体験ができる没入型自然空間(VR:バーチャルリアリティ)、デジタル森林浴空間「uralaa(うらら)」の開発・提供をしています。専用器具等を身体に装着する必要が無いことから、子供やお年寄り、身体の不自由な方でも気楽に体験することができます。「uralaa」では360度のマルチ大型スクリーン、サラウンドの音響システム、木々の香り、風を体験することが可能です。
デジタル森林浴空間uralaaは、2020年12月に浦幌町トコムロラボ、2021年6月に羽田空港どさんこプラザで常設施設がオープンいたしました。フォレストデジタルの成長をさらに加速するための新プロダクトの開発に本助成金を活用いたします。今後、オフィスや商業施設などの多くの場所でuralaaを体験できるよう展開していきます。